中国人が目にした台湾の民主選挙 「未来の中国のお手本だ」「うらやましい!」

2024/01/16 更新: 2024/01/16

1月13日に投開票が行われた台湾選挙の結果は、今後の米中関係に大きな試練をもたらすだけでなく、米中台それぞれが抱える関係の方向性をも決定することになるため、世界中がその行方に注目していた。

今回の台湾総統選挙では、中国共産党による干渉が相次ぎ報道されてきた。中共にとって「最も当選してほしくない候補」である頼清徳氏が当選し、次期総統に決定したことは、様々な手段で選挙に介入しようとした中共の思惑が全て外れたことを意味する。

中共にしてみれば、さぞや歯嚙みしたくなるような結果であろうが、中国の一般市民にとって、今回の台湾の選挙はどう映ったか。

台湾総統選の投開票が行われた13日の夜、北京市内のある「台湾と関係の深い」レストランでは店内の大型スクリーンで台湾選挙の実況が放映された。

食事を兼ねて、本国の選挙を見るために訪れた台湾人をはじめ、店内にいた中国人客も台湾の民主選挙の緊迫した雰囲気を感じながら、開票の行方を見守った。

台湾の選挙は「未来の中国のお手本」

中国の人権活動家である張建平氏は選挙の前夜である12日夜、エポックタイムズの取材に対し、次のように語った。

「台湾の選挙は競争が激しいが、これこそ正常な文明社会の体現であり、アジアの民主主義を照らす灯台だ。私は感動している。そして、うらやましく思っている」

「台湾と国交を有する国は少ないとしても、台湾人に対するビザ免除をしている国は多い。多くの西側民主主義国の国会議員も台湾を訪れている。台湾では人権が保障されているため、台湾人は尊厳ある生き方ができる。台湾は、正しい人類発展の道を辿っていると言える」

その上で、張建平氏は「いっぽう、対岸の中国本土では、人々は投票権を持っていない。人々の基本的人権ですら(中共)政府によって意のままに踏みにじられ、搾取されている。人権擁護への道は、極めて険しい」と、自由選挙が行われる台湾とは対照的な中国の現状を評した。

また、かつて公安関係の仕事をしていた童さん(すでに定年退職)は、「中国が今後、民主化されれば、お手本となるような成熟した選挙制度が必要になる。台湾は、中国が将来、民主選挙が可能になった時のお手本だ」と述べた。

 

台湾総統選挙の開票の夜、与党・民進党の支持者たち。台北市北平東路にて、2024年1月13日18:12分撮影。(宋碧龍/大紀元)

 

海外から高評価を受けた「台湾の民主選挙」

ソーシャルメディア上では、台湾の選挙制度に感嘆する投稿が溢れており、「透明度の高い台湾の選挙は素晴らしい。西側は(台湾を)見習うべきだ」とする声が広がっている。

台湾の選挙では、有権者に対し、国内の指定された投票所で直接投票することを求めている。紙の投票用紙が使用され、不在者投票や期日前投票、代理投票、電子投票などの方法はない。そうすることで、中共からのハッキングやかく乱を未然に防ぐことができるからだ。

したがって、仕事などで海外に在住する台湾人は、投票するため台湾へ一時帰国しなければならない。

しかし、そうした手間をかけてでも、中共からのあらゆる選挙干渉を防止するのが「台湾の民主選挙」であることに、今回改めて、海外諸国から高い評価を受けた。

有権者が投じた票は、専門の職員によって投票箱から1枚ずつ取り出され、不正のないように読み上げ、頭上に掲げる。

集計担当のスタッフは壁などに掲げられた大きな紙に「正」の字を書いていく。開票と集計の様子は、全て公開されている。

こうした「昔ながらの方法」を確実に実行することで、少なくとも開票集計作業に限っては、中共の妨害工作を完全に排除することができるのだ。

 

台北にて、総統選挙の開票と集計の様子。2024年1月13日撮影。(Annabelle Chih/Getty Images)

 

「あなたたち台湾人は、とても幸せだ」

台湾総統選の投開票が行われた13日、大陸側の中国ではSNS微博(ウェイボー)では同選挙の投票開始後、ハッシュタグ「台湾選挙(中国語:「台湾大選#」)」がホットリサーチ入りし、1.6億回以上の表示数を記録した。

しかし、同ハッシュタグは、投票開始から2時間以内に削除されたことがわかった。現在、ウェイボーで、同ハッシュタグを検索すると「関連法規により、このトピックの内容は表示されません」とのメッセージが表示される。

中共官製メディアも、世界が注目する台湾選挙について、ほとんど報道していない。

このような中国当局による台湾選挙への検閲や情報封殺は、まさに「中国人が民主を渇望していることを、中共当局が誰よりも知っているからだ」とされている。

台湾の選挙だけでなく、中共当局は中国の民衆が海外と交流できるあらゆる情報ルートを封鎖しようとしている。そのため、外国で起きていることを知らず、中共が認可する情報しか受け取れない中国本土の人たちは、限られた狭い空しか見ることができない「井の中の蛙」状態だ。

SNSに拡散されているインタビュー動画のなかで、かつて中国に5年間暮らしたという台湾人は次のように話している。

「私は5年間、中国で暮らしたが、ずっと本音が言えなかった。周りの人たちも、みな自分を偽っている。中共の中国は、本当に人が住むような場所ではない」

「中国人からも、私はよく言われている。あなたたち台湾人はとても幸せだ。今の幸せを大切にしてほしい、と」

 

(ある台湾人の言葉。「私は5年間、中国で暮らしたが、ずっと本音が言えなかった」という)

李凌
エポックタイムズ記者。主に中国関連報道を担当。大学では経済学を専攻。カウンセラー育成学校で心理カウンセリングも学んだ。中国の真実の姿を伝えます!
鳥飼聡
二松学舎大院博士課程修了(文学修士)。高校教師などを経て、エポックタイムズ入社。中国の文化、歴史、社会関係の記事を中心に執筆・編集しています。
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