警察による拷問致死事件 それを報じた中国メディアの報道が削除される=中国 新疆

2024/01/19 更新: 2024/01/20

今月14日、中国メディア「財新網」は、5年前に起きた新疆警察による収容者に対する拷問致死事件に関する報道を掲載した。

このとき自白を強要されて警察に拷問され、その過程で亡くなったのは孫任澤さん(男性、30歳)である。孫任澤さんの父親は、殉職した警察官だった。

しかし「財新網」のこの報道は、すぐに削除された。そうした当局の作為に対し、ネット上では怒りの声が巻き起こっている。

自白を強要する、凄まじい拷問

報道よると、新疆に住む孫任澤さんは、2018年3月に「騒乱挑発罪(尋釁滋事罪)」の疑いで刑事拘留された。身に覚えのない容疑をかけられた孫さんは、罪を認めなかった。

そのため、孫さんは新疆北部イリ・カザフ自治州の拘置所に送られた。そこでの拘留中に、自白を強要する警察によって凄まじい拷問を受けたのである。

孫さんが受けた拷問の種類は、枚挙に暇がない。殴打はもちろん、吊るし上げもする。鉄製の拷問用椅子(老虎凳)も使われた。

老虎凳(トラの椅子)とは、細長い形の「長椅子」で、拷問する対象を乗せ、両脚を前にそろえて出させる。かかとの下にはレンガなどを入れて、足を高くする。両脚を伸ばしたその体勢のまま、がんじがらめに縛られる。

そのあと膝関節の部位に「鉄アレイ」などで上から重量をかけると、膝関節が曲がる方向とは反対の動きとなる。これを長時間続けることで、まさに絶叫するほどの苦痛を与えるのだ。

そのほか、目や鼻にカラシ粉を塗る、鼻に水を強制注入する、強力な粘着テープで足の毛を抜く、などもある。

「昔ながらの電話機」のように、すさまじい電撃も受けた。旧式電話の側面についた呼び出しハンドルをまわすように、電気棒を急所に押しつけ、ドリルのようにねじ込んで強烈な電気ショックを与えるのである。

さらに、性器に重量物をひもで吊るす、仰向けの顔にタオルを当てて上から熱湯をかけ窒息させる、などである。

こうした過酷な日々が数か月も続いた。孫任澤さんに、ありもしない罪を自白させるのが警察の当初の目的であったが、もはや「拷問することが日常」という狂気に至っていた。

監視カメラに残った「証拠映像」

拘束から約6か月後の2018年9月27日未明、孫さんは複数の警察官による7時間以上に及ぶ拷問の末、ついに意識を失ったまま蘇生せず、昏睡状態に陥った。

「狂気の日常」に変化が起きたことで、警察はあわてた。孫さんは複数の病院の集中治療室に送られたが助からず、意識を失ってから43日後の11月9日に息を引き取った。

孫さんを拷問した警察側は「孫任澤は取調べ中に、飲み水を要求した。与えられた水を飲む時に、気道に詰まらせて昏睡状態に陥った。取調べ官に責任はない」などと主張して、責任逃れを図ろうとした。

しかし、孫さんの母親が真相究明を求めて奔走した結果、ようやく2023年11月、事件に関与した警察官8人に対して、一審で「故意傷害罪」により懲役3年から13年の判決が下された。

裁判資料によると、警察が拷問する前に、拘置所の所長は副所長に対し「監視カメラの電源を切るよう」指示していた。拷問の事実を隠蔽するため、証拠の映像を残さないようにしたのである。

しかし副所長は、自身が後で罪に問われるのを恐れて、後から監視カメラの電源を再度入れたという。この副所長による「自己保身のために取った行動」が、後に事件を解明する重要証拠を残すことになる。

7時間悲鳴をあげ続け、意識を失う

この監視カメラの映像によると、2018年9月26日の午後4時から11時30分までの7時間余りの間、孫さんは10数回、タオルを顔にかけられ(窒息させるため)たり、あるいは直接顔に水をかけられていた。長時間続いた窒息は、16分と15分の2回確認できる。

このほか20分以上、上から吊るされもした。そのほか、水を入れたペットボトルを性器に吊り下げられたり、手袋をつけた手で性器を痛めつける、陰毛を抜く、などの陰険な拷問が続いた。

孫さんは拷問されている間、絶えず悲鳴を上げ、許しを乞うた。孫さんの性器を痛めつけることに執念深かった警察官は、裁判の席で自身の行為を認めた上で「そうしたのは孫の人格を侮辱し、彼の心理的防御を破壊したかったからだ」と弁解している。

7時間余りの拷問を受け、孫任澤さんは意識を失った。そして、昏睡状態のまま、43日後に亡くなった。

この事件を巡り、ネット上では怒りと嘆きの声が広がっている。

「恐ろし過ぎる。彼ら(警察)は、いつもそうやっている。ただ今回は『運悪く』捕まっただけだ」「(中国に)独立した司法が成立しなければ、誰でも安全ではない」

そのほか「今は、いくらネット検索しても孫任澤の関連記事は見つからない。ウィーチャット(微信、中国SNS)で孫任澤氏のスクリーンショット画像を送信しても、他の人はそれを見ることができない」と、今でも関連情報が当局の検閲によって規制されていることを明かすネットユーザーもいる。

「これよりひどい」法輪功学習者への拷問

時事評論家の李林一氏は、エポックタイムズの取材に対し、次のようにコメントした。

「『財新網』の報道が掲載されたことは、中共の体制内にも良心的な人がいることの証しだろう。記事が後に削除されたのは、それが中共にとって敏感な部分だったからだ」

「中共当局は、最高権力者の政治的安全を守るためならば、たとえそれが警察の家族であろうと容赦しない。庶民と同様、情報封鎖を行う」

李氏はまた「この報道は、中共による法輪功学習者に行ってきた100種類にも上る凄惨な拷問が、本当に存在していたことを改めて裏付けた。しかし、明るみに出ているのは氷山の一角に過ぎない。法輪功学習者が受けている拷問は、もっと凄惨だ」と指摘した。
 

法輪功学習者が受けている凄惨な拷問の場面を再現したもの。左上の図が「老虎凳」(明慧ネットより)
李凌
エポックタイムズ記者。主に中国関連報道を担当。大学では経済学を専攻。カウンセラー育成学校で心理カウンセリングも学んだ。中国の真実の姿を伝えます!
鳥飼聡
二松学舎大院博士課程修了(文学修士)。高校教師などを経て、エポックタイムズ入社。中国の文化、歴史、社会関係の記事を中心に執筆・編集しています。
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