香港民主化デモのテーマソング「香港に栄光あれ(願栄光帰香港)」の名を冠した「願栄光咖啡館(NOT ONE LESS COFFEE、香港・上環)」はこのほど、2月29日を最後に閉店することをSNS通じて公表した。
同店の公告によると、4年近く営業してきたが、その間に「謎の人物」によるクレームが絶えなかった。
クレームのほか、食物環境衛生署、消防局、農漁業保護局、税務局、警察、労働局、建築当局、環境保護局、会社登記所など、実にさまざまな政府部門がたて続けに店にやってきては「調査」を行ったという。
店主は、店が受けてきた弾圧について「裁判所には出廷し過ぎて、裁判官とは知り合いになっちゃったよ」とユーモアを交えて振り返る一方、この「暗黒の時代」に支えてくれた顧客をはじめ多くの方々に感謝の意を表し、「機会あればカフェを再開したい」と将来への希望を述べた。
同店は、昨年末にも「毎週のように不当なクレームが寄せられていた。その度に、政府部門が調査に店に来るので客足も遠のいてしまった。政府部門からは、日常的に罰金切符を切られた。経営状況が厳しくなり、基本的な出費さえ稼げない状態だ」とSOSを発信していた。
そのほか「店舗の大家さんからも、半年分の家賃を払えだの、家賃を値上げするだのと言われている。私たちを追い出そうとしているのだ」といった現状もあるという。
そこで店主は「ちょうど賃貸契約も満期になったため、このまま閉店することにした」と、苦渋の決断した経緯を述べた。
高さ約180センチの巨大な「民主の女神」の半身像など、香港の民主化運動に関連したアート作品やグッズを数多く展示していた有名な「アート生活グッズ」のチェーン店も、当局による弾圧によって、最後の店舗が昨年6月末に閉店している。
「アート生活グッズ」を運営する香港のキッズ衣類メーカー「チッキーダック(Chickeeduck)」は過去4年間、中国共産党やその傘下の官製メディア、および香港政府などから槍玉に挙げられ、様々な妨害を受けてきた。そのため経営困難となり、やむなく閉店に至った。
正常な商業活動に対しても、嫌がらせや弾圧をするのが、中共支配下に置かれた香港の現状である。
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