エストニア対外情報機関は2月13日に、欧州連合(EU)に対し、過去1年間、中国共産党(中共)がEU高官へ訪中の招待を増やし、イデオロギーを共有するEUの個人や政党と頻繁に接触していると警告した。
エストニア対外情報機関は13日、中国共産党の対外政策をまとめた年次報告書「国際安全保障とエストニア2024」を発表した。 小国ではあるが、エストニアは他の欧州大国よりも中共批判を露骨にしている。
「欧州と米国との間に隙間を作るという中共の長期的な計画に変化はない。実務レベルでは、中共は交渉の席で積極的な存在感を確保している。中共により有利な決定に向けてEUに影響を与えるために、EUとの共通の利益を求め続けている」と報告書は述べている。
報告書によると、中共はEU当局者に中国訪問への招待をする取り組みを強化しており、多くの場合、これらの訪問に関連する費用を全額負担している。
中共はまた、海外への積極的な働きかけ戦略の一環として、イデオロギーを同じくする欧州連合の個人や政党との政治的関係を強化することを課題としている。
「2023年1月にゼロコロナ政策が解除されて以来、過去1年間、中国は欧州に対する影響力活動を著しくエスカレートさせている」と報告書は指摘した。
「中共政権は、特に中国国内において、(中共のために働く)外国人を採用し続けていること」を強調した。
西側諸国は中共の世界観を理解すべき、先入観を持つべきではない
エストニア対外情報機関は、「中共は習近平のイデオロギーを徐々に制度化している」と指摘した。
中共党首・習近平のイデオロギーが広範に制度化されるとともに、中共の外交官、ジャーナリスト、シンクタンクの専門家の世界観が曖昧になり始めている。
報告書は「これによって、中共が国際情勢を見誤るリスクが高まる。西側諸国には中共の計算が合理的に見えず、ひいては中共の潜在的な動きの判断を見誤ることにつながる可能性があると述べている。
また西側諸国が中共の外交政策決定を分析する際には、中共の世界観をより深く理解し、西側の合理性や思考パターンに根ざした先入観に頼らないようにする必要があると示唆している。
ウクライナに関する虚偽の立場を広める
エストニア対外情報機関は、中共外交が海外でウクライナの立場についてどのように虚偽を広めているのか説明した。
報告書は、広報活動の一環として中共は、ロシアに核兵器を使用しないように警告したことをアピールし、これらの警告を中共のウクライナに対する貢献だと主張している。
他にも、中共がウクライナの問題を常に注目しており、それを念頭に置いて和平案を提案していると自画自賛していると記している。
しかし、和平案には「全当事者の利益を考慮する」という条項があり、ここではロシアの利益を尊重することを意味しているという。
報告書は「このシナリオは、ロシアと同様に、既存の欧州の安全保障構造を破壊し、自国の利益に沿って再構築することを目指すという、中共の世界安全保障構想とよく合致している」と指摘している。
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