米ハーバード大学で「臓器狩り:人類への脅威」と題したシンポジウムが7日、開かれた。医学の専門家や法律家が一堂に会し、医療を濫用した人権侵害の実態を白日の下に晒した。普遍的価値観に悖る残虐な行為が中国本土で続くなか、各国が取るべき対策について活発な意見交換を行なった。
臓器狩りとは、中国共産党が法輪功学習者などの無実の囚人から生きたまま臓器を摘出し、移植希望患者に販売する組織的な人道犯罪だ。十数年にわたってこの犯罪行為を追跡してきたカナダの人権弁護士デービッド・マタス氏は、中国共産党は世界に対して虚偽の説明をしており、真実を隠蔽していると語った。
欧米諸国をはるかに超える臓器提供数について、中国共産党は「交通事故の脳死者によるもの」と説明してきた。これに対しマタス氏は「中国の患者は前もって移植手術の予約をしている。しかし、事故は前もって予約できない」と矛盾を指摘した。
医師からなる国際倫理団体「強制臓器摘出に反対する医師の会(DAFOH)」のトルステン・トレイ医師は、2006年以降の中国と他国の移植件数を比較し、事例研究を行ってきた。「どのようにデータを取っても登録ドナー数と合わない。何かがおかしいのは明白だ」と強調した。
膨大な数の闇「ドナー」の主な供給源は、中国共産党によって拘束された法輪功学習者であるとされており、国連や米国議会、欧州議会の決議や声明にもその裏付けを見つけることができる。国連人権担当官はこうした懸念について中国当局に弁明を求めているが、中国共産党は一貫して協力を拒否してきた。
「法輪功」は、「真、善、忍」の道徳的な理念に基づく中国の伝統的な精神修養法だ。1992年に伝え出されると、健康増進効果から国内外で人気を博した。しかし、当時の中国共産党総書記・江沢民は1999年7月に弾圧を開始し、以降、学習者は拷問や臓器収奪の犠牲者となっている。
がん専門医のウェルドン・ギルクリース氏は日常的に肝移植を必要とする患者を診ている。シンポジウムでは、中国医師による移植手術の濫用に関する文献を紹介し、「これは想像を絶する弾圧だ。手術室と医師を『武器』として使っている」と警鐘を鳴らした。
中国出身の法輪功学習者で、現在はニューヨークに住む韓雨さんもシンポジウムに出席した。韓雨さんの父親・韓俊清さんは2004年5月、法輪功の修煉を諦めなかったため、刑務所で迫害され死亡した。韓雨さんは、父親の遺体を見たときの様子を語った。
「一番目立ったのは、喉に切り傷があったことだ。切り口は喉から腹部まであり、とても太い黒い糸で縫われていた。腹部を押すと、中に硬い氷が入っていることがわかった」
当時はまだ、臓器狩りに関する情報はなかった。2007年、中共の臓器狩りに関する報告を読んだ韓雨さんは、父親がそのような残酷な方法で殺されたかもしれないと初めて気づいた。
「報告書を読んだ後、私は父の死を思い出した。父が生きたまま臓器を摘出されたかもしれないと思うと、いたたまれない気持ちになった」
米国では、臓器狩りに加担した者を処罰する法整備が進められている。連邦議会下院では昨年3月、良心の囚人から強制的に臓器を摘出する行為を罰する法案を賛成多数で可決、国外で行われた臓器狩りについて報告書を出すよう国務長官に求める。ユタ州やアリゾナ州、テキサス州のように、州法レベルでも同様の法案が可決している。
欧州議会でも今年1月、法輪功や少数民族等に対する迫害を非難する法案が可決。「組織的な臓器収奪が頻繁に報告されている」とし、臓器狩りに加担した者に対して制裁を科すようEU加盟国に求めた。
マタス氏は、先進国が海外で臓器移植を行った自国民について統計調査し、データを一般公開することが重要だと提言した。さらに、臓器狩りという人道に対する犯罪行為について、それを抑止するための法整備を推し進めることが不可欠だと述べた。
法輪功への迫害を追跡調査する国際組織(WOIPFG)が昨年発表した最新の調査報告書によると、中共による「臓器狩り」の犯罪は今も続いており、その対象は法輪功学習者から社会全体に拡大している。
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