全人代での李強首相 恒例の外国企業トップとの会談も拒否か

2024/03/14 更新: 2024/03/14

中国共産党(中共)は全国人民代表大会において、李強首相の記者会見を行わないことを決定し、国際的な注目を集めた。

3月12日には、李強首相が毎年行っていたフォーラム「中国発展高層論壇」で、世界のビジネスリーダーたちとの会談を見送る可能性が報道された。専門家らは、中共の官僚から学者に至るまで自己検閲が一般化しており、中国が再び改革開放以前の閉鎖的な状況へと逆戻りしていると指摘する。

ロイター通信は、情報筋からの話として3月12日李強首相が3月24日から25日にかけて予定されている「中国発展高層論壇」には出席するものの、これまでのように外国の代表者たちと会談を行うことはないかもしれないと報じた。

2千年以来、このフォーラムは毎年北京の釣魚台国賓館で開催され、伝統的に世界の企業のトップと中共の高官が直接対話できる貴重な機会とされてきた。

3月11日に閉会した全国人民代表大会では、30年以上続いた首相の記者会見が中止された。さらに、40年間変更されていなかった「国務院組織法」が改正され、中共中央への服従を新たに課す条項が加えられ、国務院の権力と独立性が削減された。

台湾国立政治大学国際事務学院の丁樹范名誉教授は3月13日に大紀元に対し、李強首相が国際記者や外国の最高経営責任者(CEO)と面会しないのは、基本的には習近平の個人的な理由によるものだと述べた。

習近平は他人が自分の影響力を薄めるのを望まず、今後このような高官の対外コミュニケーションにおいて問題が生じる可能性があるとした。

シドニー工科大学の馮崇義副教授は、李強首相が習近平の権力の大きさを意識し、自らの地位が危ういことを恐れ、外国企業トップとの会談を避けている可能性があると述べた。

李強首相の自己検閲の例として、昨年6月に行われた海外訪問中、ドイツのショルツ首相との共同記者会見で、中共は記者による質問を許可しなかった。これに対し、ドイツ側は遺憾の意を表明した。

「開放」と「安全」の二重基準による外資の不安の増大

経済の下降傾向と外資の撤退が進む中、中共当局は外資の中国進出を積極的に促している。2023年初頭、李強首相は「国務院組織法」に参加した海外代表との会談で、中国のさらなる開放を宣言した。その後も、2023年から2024年にかけての一連の活動を通じて、李強首相は外国のビジネスリーダーとの数々の会合で同様のメッセージを繰り返し、最近ではダボス世界経済フォーラムでも同様の発言をしている。

今年初め、中共政府は中国が金融開放をさらに拡大し、外資が銀行や保険機関の100%の株式を所有できるようになったと発表した。

しかし、近年導入された厳格な反スパイ法や、外国の調査会社に対する繰り返しの捜索や禁止命令など、外資に対する規制を強化している。中共の国家安全部は経済の管理に積極的に関与している。

丁樹范氏は、中共当局のこのような対応が外資に大きな影響を与えており、中国への投資に際しては企業が多くの公式政策を理解する必要があるが、現在は公式データの公開がないか、あっても信頼性が疑問視される状況であり、さらには外国企業のトップと首相との直接会談も許されていないため、外資の中国投資に対する懸念が高まっていると述べた。

中共は引き続き外資による投資を奨励しているものの、実際には外資による中国への投資は減少している。

中共商務部と国家外貨管理局のデータによると、今年1月の中国の実際の外資使用額は前年比で11.7%減少し、1127億1千元(約2兆3500億円)に落ち込んだ。公式データが不利な状況を隠している可能性があるため、実際の状況はさらに悪いかもしれない。

丁樹范教授は、習近平が外界とのコミュニケーションを慎重に行う現状を踏まえると、彼の下で働く官僚も上意を忖度し、外界との直接のコミュニケーションを避ける傾向にあると指摘した。

また自己検閲は官僚だけでなく、海外の中国の学者にも広がっており、参加可能な会議を避ける傾向があると述べ、「中国は改革開放前の閉鎖的な状態に戻りつつある」との見解を示した。

寧海鐘
中国語大紀元の記者。
駱亜
中国語大紀元の記者、編集者。
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