中国共産党の軍事的台頭への警戒感から、日本や韓国などアジア諸国は兵器導入を進めている。特に日本は過去5年間で武器輸入額を急増させた。スウェーデンのシンクタンク、ストックホルム国際平和研究所(SIPRI)が報告書で指摘した。
報告書によると、2019年から2023年の5年間で、日本の武器輸入額は前の5年間と比べて155%増加し、韓国も6.5%増を記録した。米国は日本に29機、韓国に34機の戦闘機を供給した。
日本は米国から400発の巡航ミサイル「トマホーク」を発注する。中国や北朝鮮との緊張関係を踏まえ、敵基地攻撃能力を強化する。「日本など米国のアジア・オセアニア地域の同盟国・パートナー国による武器輸入の高まりは、中国(共産党)の野心への懸念が主因だ」と報告書は指摘した。
東南アジア諸国連合(ASEAN)加盟国の武器輸入額は43%減少したものの、中国との緊張関係を背景に、一部の国では増加が目立った。フィリピンは105%増、シンガポールは17%増だった。インドネシア、マレーシア、シンガポールも戦闘機や艦艇などの大型装備の調達を進めている。
台湾の武器輸入額は69%減となったが、今後5年間で66機の戦闘機や108両の戦車、460発の対艦ミサイルなど大規模な武器供与を米国から受ける計画がある。
欧州では、ロシアによるウクライナ侵攻の影響で域内の武器輸入額が約2倍に急増。うち55%は米国からの輸入だった。米国のシェアは前の5年間から20ポイント増えており、欧州の米国への軍事的依存度が高まっている。
ロシアの武器輸出額は53%減り、世界ランキングでフランスに抜かれ3位に後退した。主要な輸出先はインドと中国で、インドが34%、中国が21%を占めた。
2023年の世界最大の武器輸入国はウクライナだった。ただ、その大半は「購入」ではなく「無償供与」によるもの。2019年から2023年では米国からの供与が39%、ドイツが19%、ポーランドが13%を占めた。
SIPRI研究員のピーター・ウェゼマン氏は、ロシア製武器の需要低下について、「米国と欧州諸国がロシア製武器の潜在的な購入国に働きかけているケースもある」とコメントしている。たとえば、ロシア製戦闘機の購入を望んでいたエジプトは、米国からの動きに応じてフランス製を検討していると述べた。
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