米中対立の下でのサプライチェーンの再編、そして中国共産党(中共)が資源を武器として使用するリスクを背景に、韓国は中共をサプライチェーンから切り離すことを積極的に推進し、リチウムやレアアースなどの分野で一定の成果を上げている。
EVバッテリー原料業界に参入した総合商社、ポスコインターナショナルは3月12日、北米および欧州の自動車メーカーと、1兆1600億ウォン(約1300億円)のネオジム磁石(NdFeB磁石)の契約を最近締結したと発表した。
ネオジム磁石は、EV、風力発電機、家電製品などに使われる駆動モーターのコア材料だ。EVの80%以上が、自動車の心臓部である駆動モーターに、通常の磁石ではなくネオジム磁石を使用している。
ポスコインターナショナルは、同社がネオジム磁石の製造に使用するレアアースは「中国ではなく、米国、豪州、ベトナムから調達している」と紹介し、生産は韓国唯一のレアアース永久磁石メーカーであるスター・グループが担当するとしている。
国際エネルギー機関(IEA)によると、世界のレアアース生産量の約6割を中国が占め、世界の加工・精製シェアの9割近くを中国が占めている。
中国のレアアース市場の独占を崩すという意味でも、今回の受注は非常に大きな意味を持つ、と同社関係者は強調している。
また韓国最大のバッテリー会社であるLGエナジーソリューションもリチウム購入を強化している。同社は2月に、豪州のリチウム会社ウェスCEFと、今年8万5千トンのリチウム精鉱を供給する契約を締結した。
リチウムイオン電池の製造の材料としては他にも、水酸化リチウムの韓国の輸入額も増加しており、13日に韓国貿易協会が発表したデータでは、2023年の水酸化リチウム輸入額は61億9千米ドル(約9225億円)に達し、前年比69%増となる。
また水酸化リチウムの中国産の割合は79.6%で、2022年の87.9%から8.3%減少した。 一方、輸入シェア2位のチリからの輸入比率は10.7%から17.5%に上昇した。
韓国の電力電池産業の急成長に伴い、水酸化リチウムの中国依存度は2019年の74.1%から2022年には87.9%に上昇し、2023年に初めて低下した。
米国政府は昨年、「懸念される外国の事業体(Foreign Entity of Concern)」を「インフレ抑制法(歳出・歳入法)」の税額控除から除外すると発表した。 このルールでは、2025年から、中国企業から調達した重要鉱物をバッテリーに使用するEVメーカーは補助金の対象外となる。 また、中国共産党は昨年12月から天然黒鉛の輸出規制をしており、黒鉛は韓国がサプライチェーンの多様化のためにどうしても必要な中核鉱物となっている。
韓国で唯一の負極材メーカーであるポスコの子会社、ポスコ・フューチャーエムは最近、豪州の鉱山会社シラー・リソーシズと、アフリカのモザンビークから年間最大6万トンの天然黒鉛を輸入する契約を結んだ。
韓国政府は昨年2月、最先端産業に必要な33種類の重要鉱物について、2030年までに中共への依存度を50%削減することを目指す「中核鉱物確保戦略」を発表した。 このうち、半導体、二次電池、EVに不可欠なリチウム、ニッケル、コバルト、マンガン、黒鉛、レアアースなど10の戦略的重要鉱物を優先的に集中管理する。 これら10種類の戦略的重要鉱物は様々な国で産出されているが、取り扱いや加工が中国に集中しているという問題がある。
日本はEV用バッテリーの材料などとして、輸入量の約9割を中国に頼っている。産経新聞は昨年10月に、政府は、南鳥島沖の海底で確認されたレアアースの試掘を2024年に開始する方針で調整していると報じた。また、昨年3月、双日社はエネルギー・金属鉱物資源機構(JOGMEC)と共同で豪州のレアアース大手のライナス・レアアースと、日本向けに重希土類の供給契約を結んだ。
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