米国におけるハイブリッド車の人気の高さは、その優れた性能と多機能性に起因する。充電と給油の双方に対応することができ、スポーティーなデザインと強いパワーを兼ね備えたハイブリッド車は、米国市場で最も支持される車種となっている。

2024年の初めの2か月間において、ハイブリッド車の販売は前年同期比で50%も急増した。一方、電気自動車（EV）の販売増加率は13%に留まっている。

この売上げ額の高さと伸びの速さからしても、米国ではハイブリッド車がEVを凌駕していることは明らかである。

急上昇するハイブリッド車の人気

自動車情報サイトEdmundsの集計によれば、ハイブリッド車は「平均25日」という速さでディーラーから顧客に売り出されている。これはEVの約3倍、ガソリン車の2倍の速さだ。

さらに業界関係者によると、多くの顧客がEVに関心を示しつつも、航続距離や充電設備の利用可能性に関しては不安を抱えているという。これが一因にもなって、一部の顧客はEVからハイブリッド車へと、その関心を移している。

ディーラーや自動車メーカーの幹部たちは、ハイブリッド車を選択することが消費者にとってより経済的であり、また信頼性の面でも優れていると指摘している。

これと対照的に、消費者がEVを選んだ場合、自宅用の充電設備の費用、再販価値の不透明さ、メンテナンスや修理にかかるコストなど、より多くの要素を考慮しなければならない点を挙げる。

さらに、ガソリン車やディーゼル車と比較した場合、ハイブリッド車の価格も下がっている。プライベートエクイティ会社Mobility Impact Partnersのデータによると、2024年にはハイブリッド車の平均価格は、内燃機関車に比べて約9%割高である。しかしこれは、7年前の2007年に記録された43%という両者の価格差に比べて、大きく縮小されている。

自動車産業における新たな潮流として、多様なプラグインハイブリッド車（PHEV）が市場に投入される動きが加速されている。この波は、ボルボ、BMW、ヒュンダイ、キア、およびStellantis傘下のJeepといったメーカーによって牽引されているが、これらの企業は近年、プラグインハイブリッド車を相次いで市場に送り出している。

プラグインハイブリッド車は、ガソリンエンジンに切り替える前に、電力のみで「20から40マイル（約64㎞）の距離が走行可能」という特徴を持っている。

また、ゼネラルモーターズやフォルクスワーゲンも、プラグインハイブリッド車の開発・生産に意欲を示している。

ハイブリッド車は、ガソリンエンジンと電動モーターの組み合わせにより、燃費効率の向上を実現している。Cox Automotiveの分析によると、米国におけるハイブリッド車のモデルは今後5年間で40％増加し、2024年には約70モデルが市場に登場する見込みである。市場には、大型SUV、ピックアップトラック、ジープ、さらにはスポーツカーを含めて、より多様なハイブリッド車が提供されている。

メーカー各社、ハイブリッドモデル増加へ

日本の自動車大手トヨタは、20年前にプリウスを通じてハイブリッド技術を市場に導入した。このモデルは米国市場においては大きなシェアを占めていないものの、安定した人気を維持している。

ハイブリッド車への需要が急激に高まっていることは、トヨタにとって追い風となっている。トヨタは以前から、多くの顧客にとってEVが実用的な選択肢ではないとの見解を示している。

トヨタの会長であり、前CEOである豊田章男氏は、今年1月にEVが世界市場で30%のシェアを占めることはないと述べ、ガソリン車、ハイブリッド車、そして水素燃料電池車が今後も市場を牽引していくであろうと予測している。

2018年から、トヨタは新世代のハイブリッド車を市場に導入し、魅力的で高性能なモデルの開発に努めている。例えば、2022年に発売されたプリウスの最新版は、以前のモデルと比較して燃費性能が同等（1ガロンあたり57マイル）でありながら、70馬力のパワーアップを実現した。

ハイブリッド車のパイオニアであるトヨタは、その多くの車種にハイブリッドモデルを取り揃えており、新型カムリやシエナミニバンなどではハイブリッド仕様のみが提供されている。

他方、EVへの関心が次第に低下している現在、多数の自動車メーカーがハイブリッド車のバリエーションを増やすことに再び力を入れ始めている。

フォードのガソリン車およびハイブリッド車部門のトップであるアンドリュー・フリック氏は、ハイブリッド技術が従来型ガソリン車の性能に匹敵する、あるいはそれを超えるレベルに達している、と指摘している。

さらにフリック氏は「ハイブリッド車は、ガソリン車と比較しても決して見劣りしない」と述べ、フォードF-150ピックアップトラックのハイブリッド版が、多くのガソリン版モデルを上回る性能を持つことを具体例として挙げている。