中学生殺人事件続報 被害者宅のネットが遮断され、弁護士も弾圧される=中国 河北

2024/03/27 更新: 2024/03/26

今月10日に、河北省邯鄲市で起きた中学生殺害事件に関連して、被害者側の弁護士が地元政府による弾圧を受けていることがわかった。

この弁護士はSNSアカウントが封鎖された。また、被害者の自宅や生前通っていた学校は、いずれも当局の監視下に置かれている。

21日には、教育を主管する現地政府の役人が弁護士に圧力をかける場面を捉えた動画がネットに流出し、物議を醸した。この動画は今、削除されている。

中国のネット上では事件関連の話題には検閲が行われており、主要SNSでも関連話題が封殺に遭っている。当局は、多方面からこの事件を隠蔽する構えと見てよい。

2024年3月21日に投稿された動画。画像右側のスーツの男性が被害者側の弁護士。手前の女性は政府役人。(SNSより)

今月10日、河北省邯鄲市の男子中学生3人が、クラスメイトの男子生徒、王子耀さん(13歲)の携帯電話を奪い、アプリ(ウィーチャット)に入っていた191元(約3900円)を他所へ送金して引き出した。その上で、野菜ハウスのなかで鉄のスコップを使って王さんを殴り殺し、そこへ遺体を埋めた。

遺体は翌日に発見された。現地警察は15日、容疑者3人を故意殺人の疑いで刑事拘留したと発表した。

画像(左)は逮捕された加害生徒3人。画面処理なしで報じられている。画像(右)は死体遺棄現場。(NTD新唐人テレビの報道番組より)

王さんは長い間、同じクラスの隣席の生徒によって、いじめられていたという。

10代の子供が同級生の金を巻き上げて、あまりにも残忍な方法で殺害し、遺体を埋めた。この凶悪事件への注目度は非常に高いが、当局によるあからさまな検閲が始まったことで、ネット上では非難が殺到している。

「当局が、またも情報封鎖に動き始めたか」

「またもお茶を濁して、もみ消すのか」

「何か都合の悪い事が起こるたびにこれだ。最後はごまかされて、いい加減に済まされるのがオチだろう」

現在、殺害および遺体遺棄現場となった「野菜を育てるハウス」は、すでに撤去された。つまり、事件現場そのものが「存在を消されている」のである。

画像(左)は「存在を消された」殺害および遺体遺棄現場。画像(右)は封殺された臧梵清弁護士のSNSアカウント。(NTD新唐人テレビより)

NTD新唐人テレビに寄せられた現地市民による最新の情報によると、被害者である王さんの自宅のネット回線は遮断された。家の外には常に7、8人の見張りが24時間体制で監視しており、部外者は近寄れない状態だという。

王さんが通っていた学校もパトカーが警備しており、一般市民による撮影は不可能になっている。取材しようとして、学校に近寄った中国メディアの一部の記者は殴られ、車まで壊されたという。

被害者宅の前で、監視に当たる複数の見張り役。(NTD新唐人テレビの報道番組より)

弾圧に遭っている被害者側の弁護士である臧梵清氏は、中国でも有名な弁護士である。

父親に付き添って遺体の解剖に立ち会った臧氏によると「遺体は、体中が傷だらけで、見るに堪えない悲惨な状態だった」と明かしている。

画像(左)はクラスメイトらによって惨殺され、埋められた王子耀さん(13歲)。画像(真ん中)は王さんの遺体の頭部のレントゲン写真、顔の骨がめちゃくちゃに破壊されている。(NTD新唐人テレビの報道番組より)

いっぽう、ネット上では「まだ中学生の子供が、どうして同級生を殺害するような悪魔になってしまったのか」という話題が熱く議論されている。

その議論のなかで「中国社会に蔓延する戻気(邪気)や殺気、そして社会全体の道徳低下の元凶は、過去数十年にわたる憎悪教育によるものだ。そのような教育が今回の悲劇をもたらした」と憤慨する声が広がっている。 

(左の投稿は中共による仇日教育。日本兵のワラ人形にむかって「銃剣刺突」をする中国の小学生。右の投稿は、逮捕された加害生徒3人。)

今回の事件について時事評論家の唐靖遠氏は、次のように分析する。

「この事件が浮き彫りにしているのは、留守児童の問題や教育問題、そして社会の倫理道徳の欠落など、今の中国がもつ恐るべき社会現象である。中共は暴力を推奨し、子供にとって望ましくないネット環境を放置している。その結果、毒のあるネット情報が、今や子供にとっての最大の教師になってしまった」

「時代の孤児」となった留守児童

今回の容疑者容疑者(加害者)3人と被害者は、全員「留守児童」であった。

中国語の「留守児童」とは、両親が都市部などの他所へ出稼ぎへ行っており、普段は祖父母や親戚と同居している子供を指す。被害者をふくむ4人は、いずれも14歳以下であった。

2023年時点で、中国には1086万の留守児童がいるとされている。親が子供を置いて出稼ぎに出る理由は、多くの場合、経済的な事情によるものである。

しかし、それが大きな社会問題になっている原因は、家族とともに生活する地元に「生計を立てられるだけの、十分な収入を得る仕事がない」という一点に尽きる。それだけ今の地方経済は疲弊しており、そうした政治課題が全く解決されていない実態がある。

また、出稼ぎに行く親に連れられて、都市部を転々とする子供も数千万人にのぼる。

こうした子供たちは留守児童ではないが、生活環境が極めて劣悪で、教育も満足に受けられない状態にあるため、こちらも大きな社会問題となっている。

子供たちの精神を病ませる「親子の断絶」

留守児童のうち、4.3%が「両親からの電話が、年に1回未満」という調査結果もある。

つまり、養育は祖父母のもとでなされたとしても、親子の断絶は、もはや修復不可能にもなっているのだ。

また、祖父母のなかには、持病もちだったり、自分たちの生活だけで精いっぱいで、とても孫の宿題を見てあげることや、孫の精神面の健康まで気に掛ける余裕などない家庭も多い。

親子のふれあいやコミュニケーションが欠乏したまま育った留守児童には、精神的な発育においても、感性の低下、攻撃的な性格、他者への敵意の増幅などがみられる。

さらには、情緒的に不安定で、憂鬱や焦燥の状態になりやすいとともに、性格が卑屈であったり、自信のない子供に育つ傾向があるという。

留守児童の8割が「心に問題がある」

心理学者の葦志忠氏が、昨年行った調査研究によると「留守児童の8割が、様々な心理的問題を抱えていることが明確に示された」という。

また、広東省の未成年犯罪者管理所が提供した調査研究データによると、刑務所に収容されている未成年の犯罪者のなかで、留守児童は20.1%を占めているという。

また、犯罪履歴のある成人の農民工(農村戸籍をもつ出稼ぎ労働者)のうち、およそ8割が留守児童だった経験をもつことが広州大学の研究で明らかになっている。

近年では、留守児童に関連する餓死事件や自殺、さらには集団自殺事件も増加している。そのため、留守児童は中国社会の最大の「潰瘍」だ、と指摘する研究もあるほどだ。

今回の事件で、同級生を惨殺した3人の中学生に、どのような経緯があってこのような凶悪犯罪の加害者になってしまったかは、今後の調査を見なければ分からない。ただし、中共当局は、この事件そのものを隠蔽しようとしている。

他者の痛みを思いやることのできない中学生。そんなモンスター的な子供を、今の中共体制は、大量に生み出そうとしている。

「ママ、行かないで」。泣き叫びながら、母親を載せたバイクを1キロも走って追い続けた山西省の留守児童の・張美豔ちゃん(9歳)。(中国のネットより)

関連記事

中学生3人が同級生を殺害し死体遺棄 「中国社会に蔓延する邪気」の現れか=中国 河北(こちらをクリック

「媽媽(ママ)私を置いて行かないで」 出稼ぎに行く親たち、留守児童の絶叫は続く=中国(こちらをクリック

李凌
エポックタイムズ記者。主に中国関連報道を担当。大学では経済学を専攻。カウンセラー育成学校で心理カウンセリングも学んだ。中国の真実の姿を伝えます!
鳥飼聡
二松学舎大院博士課程修了(文学修士)。高校教師などを経て、エポックタイムズ入社。中国の文化、歴史、社会関係の記事を中心に執筆・編集しています。
関連特集: 中国