米国議会、中国共産党の浸透活動の調査 全国民に対抗を呼びかける

2024/03/27 更新: 2024/03/27

米国政府は中国共産党(中共)のテクノロジーへの影響力を強化し、米連邦議会委員会は連邦政府の9つの部門に対し、中共による米国への組織的な浸透活動の調査と、これに対する適切な対応策とその報告を求める書簡を送付した。

送られた書簡では、中共と中国を明確に区別し、米国と中共の対立を政治戦争と位置づけ、全社会、全政府が一致して対応することや、米国社会、経済界、および中国系コミュニティへの浸透を阻止することが要求されている。

過去40年間、米国の連邦政府は中国の近代化を支援してきたが、今回の書簡はこれまでの政策との決別を示しており、全く逆のアプローチを意味している。

 9通の書簡で何が伝えられているのか?

3月14日、米連邦議会下院の監督・問責委員会は、司法省(DOJ)、米国農務省(USDA)、環境保護庁(EPA)、麻薬取締局(DEA)、米国グローバルメディア局(USAGM)、財務省の金融犯罪取締ネットワーク(FinCEN)、国家航空宇宙局(NASA)、連邦エネルギー規制委員会(FERC)、国立科学財団( NSF)の、9つの連邦政府機関に公式文書を送付した。

各文書では、数十年にわたり中共が米国社会の様々な側面に影響を及ぼそうと試みてきたことを指摘し、その目的は「主要な敵」の米国に勝利することである。そしてその手法は多岐にわたると強調した。

記事によると、米国にとって中共政府は、経済スパイ行為、商業秘密の盗難、人権侵害、技術競争を含む複数の面における最大の戦略的脅威と位置づけている。中共の行動は、他国にも脅威を与える存在で、地域や世界の覇権を巡る戦争に匹敵する深刻な問題だと捉えている。

この背景から、全米国人が中共の標的となり得るため、連邦政府には2つの重要な責務があるという。第1に、中共の脅威に関する米国市民への啓蒙活動。第2は、米国市民が自らのコミュニティ、学校、宗教施設、企業、財産、食糧などを保護するための積極的な行動を支える対策を提供することである。

(Photo b2023年2月1日、米国連邦議会下院の監視及び改革委員会はジェームズ・コーマー委員長のもと、ワシントンD.C.にあるレイバーンハウスオフィスビルで新型コロナウイルスの起源などについて議論する公聴会を開催した(Anna Moneymaker/Getty Images)y Anna Moneymaker/Getty Images)

本書簡において、委員会は米国の企業、華人コミュニティ、及び米国の司法システムが、中共の政治的影響力から保護されるべきだと強調している。

米国のビジネス界は中共による「エリート捕獲」の重要な対象となっている。特にシリコンバレーが経済戦争の中心的な標的だと指摘する。

2021年末、中共はワシントン中国大使館を通じ、米国の高官や企業へ中共の立場を代弁するよう要求する手紙を送付した。これは、米国の政策へ公然と影響を与えようとするものだ。

中共の政治戦は、米国の中国系コミュニティを特に標的にして、代理人を通じて恐怖を植え付けたり、中国にいる家族へ脅迫をしたり、合法的に、また非合法的にでも、米国の技術窃盗を試みている。

また中共は、人種差別をあおり米国の司法システムに混乱を引き起こし、開放的な民主社会を利用して、自身への批判をそらそうとしている。

司法省

米国委員会は司法省に対し、3月20日までに政治的な戦略や影響力行使に関する理解を深めるため、中国に関連する業務を担当する職員に対し、研修を実施するよう指示した。

米国のビジネス界や中国系コミュニティ、その他の標的とされるコミュニティに対し、中共の脅威に関する啓蒙活動を行い、中共の国内での違法行為に関する情報提供や通報ができるホットラインを設置し、報告するよう求めている。

農務省

農務省に宛てられた書簡では、種子技術の窃盗や米国農地の購入などが、国家安全保障の悪影響を及ぼす問題の焦点に置かれている。

環境保護庁

環境保護庁に宛てられた書簡では、中共は米国のエネルギー政策への影響を通じて自国の利益を追求するため、西側諸国に圧力をかけている。環境保護団体を標的とする統一戦線団体の活動や、エネルギー政策を策定する問題が主に取り上げられている。

麻薬取締局

麻薬取締局に宛てられた書簡は、中国共産党がフェンタニルを用いて米国を弱体化させようとする試みが主要な議題となっている。

米国グローバルメディア局

グローバルメディア局に宛てられた書簡では、700人以上の中国共産党宣伝員が米国国内のメディアで活動していて、中共の世界中のメディアとエンターテインメント業界への浸透、ソーシャルメディアやインターネットを通じた世論操作の試みを主に取り上げている。

財務省金融犯罪取締ネットワーク

財務省金融犯罪取締ネットワークに宛てられた書簡では、中共による米国の不動産やカジノの利用による不正資金の洗浄。麻薬取引や三合会(中国の犯罪組織)などへの活動支援及び土地購入が、国家安全保障に対する脅威であると主に言及されている。

NASA

NASAに宛てられた書簡では、中共が宇宙を舞台にして米国の国際的影響力を削いでいる。自国の軍事力及び宇宙開発を推し進め、宇宙空間を競争の場と捉える事実を取り上げている。

連邦エネルギー規制委員会

エネルギー規制委員会に宛てられた書簡では、中国共産党が西側諸国のエネルギー安全保障に対する脅威となる投資を進め、重要な鉱物資源の支配を図っていると指摘。特に大手通信機器企業、華為技術有限公司(Huawei)や大手EV用電池メーカー、寧徳時代新能源科技を指摘している。

国立科学財団

国家科学財団に宛てられた書簡では、米国のバイオテクノロジーが中国との連携を通じて、ウイグル人の抑圧や軍事目的に利用されていると懸念している。

これらの書簡は、中共の行動がそれぞれの分野に与える脅威を理解し、米国市民への情報提供や適切な予防策の実施について、各部門の対応を問いかけている。

宋唐
易如
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