各国政府は国際保健規制の新たな改正案を否決せよ

2024/04/11 更新: 2024/04/11

呼吸器系ウイルスを粉砕する目的で、政府からシュールな命令の集中砲火を浴びたことを覚えているだろうか? それは、外出を禁止するとか、X人以上の夕食会の禁止、ワクチン未接種者にバーやレストランに入らせない、礼拝所には近づかないなどの命令だった。

政府が制限を解除したとき、私たちは安堵のために大きなため息をついたではないか? しかし、パンデミックなど「公衆衛生上の緊急事態」が発生したときに、政府に代わって、世界保健機関(WHO)が任命した「専門家委員会」が助言を行うというパンデミック法の改正が、WHOによって進められており、国民の生活と自由が翻弄される恐れがある。これには政府も関与している可能性がある。

WHOは国際保健規則(IHR)の改正に加えて、別のパンデミック協定を批准させようとしている。しかし、IHRの改正案はいかなる新しい条約をも必要とせず、この改正だけでも公衆衛生上の緊急事態への対応を規定する国際的な法的枠組みに革命を起こす。改正案はまだ交渉中であり、WHOは2024年5月の最終決定を目指している。その間に各国首脳が明示的に拒否しない限り、10か月後に完全に批准されたと見なされる。

これらの改正案が発効する前に、各国首脳は明確に拒否することが重要である。なぜなら、この改正案は、国際的な公衆衛生上の緊急事態の際に、危険なまでの権限をWHOに委譲するものだからだ。これによりWHOは、「国際的に懸念される」公衆衛生上の緊急事態を一方的に宣言することによって、この緊急事態の権限を発動することができるようになる。

ここでは、各国政府がIHR改正を阻止しなければならない9つの理由を紹介する。

1. IHRの改正案は、国際的な公衆衛生上の緊急事態において、政府を「指導・調整機関」としてWHOに従属させるものであるため、私たちは最後までWHOに権限を譲り渡すべきではない。この組織は、mRNAワクチンの安全性データが不完全であることを市民に警告しなかったり、科学的根拠が極めて乏しいマスク着用を頑なに推奨したり、中国の残酷で非人道的なロックダウンを称賛したり、欧州連合のデジタルCOVID証明書をモデルとした、世界的なバイオ監視体制を熱心に支持するなど、新型コロナパンデミックを通して、すでにその退行的、非人道的、反科学的な色彩を示している。

2. これまで、規則の実施に当たっては、「尊厳、人権、基本的自由」の尊重が要件となっていた。今回の改正では、この重要な条項が「公平性」や「包摂性」への約束に置き換えられる。責任ある人物が、国際条約から「尊厳、人権、基本的自由」の文言を取り除こうとすることなど、到底考えられないことだ。

3. この改正により、WHO事務局長は、ある事象に対して「国際的な公衆衛生上の緊急事態に発展する恐れがある」と指定することができる。WHOは、自らの緊急事態宣言を一方的に発動する能力を持っている。明らかに、WHOは国際社会に対してその力と影響力を発動する緊急事態宣言に重大な関心を持っているため、国際的な緊急プロトコルの発動に有利なように天秤を大きく傾けている。

4. 「公衆衛生に影響を及ぼすと考えられるすべてのリスク」という考え方とともに、「潜在的な」公衆衛生上の緊急事態という概念が導入されたことで、WHOは緊急プロトコルや指令を発動する自由度を大幅に拡大する。

5. 改正案によれば、渡航者は、病原体の臨床検査やワクチン接種などの情報が記載された「文書」の提出を求められる場合がある。これは、ヨーロッパで見られた、差別的で強制的なバイオ監視体制と同様、世界的なバイオ監視体制を法的に確立するものである。

6. WHOは、世界的な「健康製品の配分計画」を策定する上で、極めて重要な役割を果たす。つまり、ビル・ゲイツ氏のような製薬製品に既得権益を持つ民間の寄付者から資金提供を受けた組織が、製薬製品の流通を監督することになる。

7. WHOとIHRに拘束される国は、「公衆衛生が係る事象、予防・疫病対策、活動についての虚偽や誤情報をメディアで流布することに、協力して対抗する」ことになっている。これは事実上、国際法にグローバルな検閲体制を組み込むことになる。私たちはすでに、WHO主導の国際的な検閲体制の下で生きてきた: WHOの 「公式」見解とは異なる研究所を発生源だと発信したり、ワクチンのリスクやマスクの有効性などを説明したりすると、グーグル検索、ユーチューブ、ツイッターなどから削除された。改正IHRの下では、このようなことがさらに増えると予想される。これは、オープンで透明な科学的探求のアンチテーゼそのものである。

8. 改正されたIHRは、国際的な公衆衛生上の対応をWHO指令に隷属させ、コロナパンデミック時のスウェーデンのような異論のある対応を抑制することになる。こうした、公衆衛生上の緊急事態を高度に中央集権的な方法で対応すれば、強固な医療制度に不可欠な政策の多様化と実験が押しつぶされてしまう。

9. WHOは、すでに内部の利益相反に悩まされている。それは、ワクチンを含む特定医薬品の成功に金銭的な利害関係を持つ、ゲイツ財団などの民間ドナーに依存しているためである。これらの利益相反のため、WHOは、国際的なパンデミック対応を公平に調整する組織としての適格性を失っている。WHOに権限を与えれば与えるほど、こうした利益相反は悪化する。

IHRの改正によって、各国政府の主権が奪われることはないという指摘が多い。しかし、それは、WHOが決定した国際的緊急事態の際に、各国に対して、WHOの助言に従うよう法的に義務付けたり、各国のパンデミック対応を国際的な保健官僚制に統合したりするという、IHRの要点を完全に見落としている。

理論的には、各国がIHRによって規定される法的約束を反故にしたり、WHOが推奨する道とは異なる道を歩んだりすることは可能だ。しかし、彼ら自身が新しいIHR体制に同意し、資金を提供したことを考えると、これは考えにくい。

 

本記事で述べられている見解は筆者の意見であり、必ずしもエポックタイムズの見解を反映するものではありません。

スペイン・パンプローナにあるナバラ大学文化社会研究所の研究員および講師。スペイン政府によって優れた研究活動を支援するために授与される名誉あるラモン・イ・カハール研究助成金(2017年から2021年、2023年まで延長)の受賞者。ナバラ大学に所属する以前は、バックネル大学とビラノバ大学での客員助教授、およびプリンストン大学のジェームズ・マディソン・プログラムでの博士研究員など、アメリカ国内でいくつかの研究職や教職を務めた。ダブリン大学カレッジで哲学の学士号と修士号を取得し、ノートルダム大学で政治学の博士号を取得している。
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