【プレミアム報道】「ハリケーンは増加していない」…科学者が気候変動の嘘を暴く

2024/04/13 更新: 2024/04/12

今年のハリケーンシーズンは6月1日に正式に始まる。気象コンサルティング会社WeatherBELLによれば、今年は2005年、2017年、2020年と類似の気象パターンを持ち、「地獄のハリケーンシーズン」になると予測している。

同社の気象学者で主任予報官のジョー・バスタルディ氏は、それに伴い、自身が「偽りの物語」と呼ぶ、気候変動の責任のなすり合いが始まると語っている。

2005年にはハリケーン・カトリーナがルイジアナ州を襲い、推定1833人が死亡、約1610億ドルの損害が発生した。2017年になると、ハービーがテキサス州を、イルマがカリブ海、マリアがカリブ海とプエルトリコを襲い、少なくとも3364人の死者と合計2940億ドル以上の被害が出た。

2020年には6つの大型ハリケーンが上陸し、米国海洋大気庁(NOAA)はこの年を「観測史上最も活発な季節」と呼んだ。

各シーズンの後、政府高官、委員会、科学者たちは、それを気候変動のせいにした。

エネルギーの自給自足と地球温暖化に関する米国特別委員会は、カトリーナの後、「メキシコ湾岸やハリケーン・カトリーナほど、壊滅的な地球温暖化の影響を示す良い例はないだろう」と述べた。

「人為的な温暖化がハリケーン・カトリーナに与えた影響の大きさを定量化することは難しいが、科学者たちは、世界中の海が温暖化するにつれて、嵐がより大きくて激しくなる傾向を明らかにした」

ハリケーン・イルマの後、国連のアントニオ・グテーレス事務総長は、2017年シーズンを「記録上最も激しい」と表現。「気候の変化により、異常気象はより深刻かつ頻繁に発生し、地域社会はショックと回復の悪循環に陥っている」と述べた。

2020年のハリケーン後、NOAA国立環境情報センターの大気研究科学者であるジム・コッシン氏は、ハリケーンの活動が活発化しているのは、「平均よりも暖かい海水温のせいだ」と非難し、過去40年間に猛威を振るったハリケーンの増加は、気候変動と関連していると述べた。

バスタルディ氏は、今年も同じようなメッセージを聞くことになるだろうと指摘。

「否定的なことや、それが最悪だと吹聴している人たちと一緒にいれば、何を信じるようになるだろうか?もし私がCO2の議論をしたいのなら、そのまま同じことをするだろう」とバスタルディ氏はエポックタイムズに語った。

「しかし、ハリケーンの数は増えていない。嵐の規模は小さくなっている。ハリケーンはより小さく、よりコンパクトになっている」

海洋学者で認定コンサルティング気象学者のボブ・コーエン氏も同意見だ。

現在、エルニーニョ現象からラニーニャ現象への移行が進んでおり、これは「通常よりも高いハリケーン活動と相関している」とコーエン氏は述べた。

「今のところ、地下の温度はエルニーニョの時よりもずっと低い。地表付近の気温はまだ高いが、地下水溜まりと温水溜まりは消散しており、それが地表に浮上すればラニーニャになる」

2022年9月29日、米フロリダ州ボニータスプリングスで発生したハリケーン「イアン」による被害を見ながら歩く人々 (Photo by Sean Rayford/Getty Images)

また、コーエン氏はもし2024年が予測通りハリケーンの多いシーズンになれば、「警戒的なメッセージをより多く耳にすることになるだろう」と述べた。

しかし、バスタルディ氏と同様、コーエン氏もハリケーンが大きくなったり激しくなったりはしていないと指摘する。小氷河期から自然に気温が上昇するにつれて、ハリケーンや気象現象は指数関数的に悪化するのではなく、それほど激しくはならなくなるだろうと述べた。

基礎物理と温度

地球は平衡状態を保とうと努めている。コーエン氏によると、赤道と両極の間の温度を均一にしようとし、それが天候を左右する。

「5万フィートの全体像を見ると、地球は熱機関だ」とコーエン氏はいう。「熱帯地方の気温はほぼ一定であり、南北両極において最も大きな変化が起きている」

「勾配が嵐を駆り立てる。つまり、両極が暖かくなれば、赤道との間の温度勾配が減少し、激しい嵐を引き起こそうとする母なる自然の必要性が減る。これは基本的な物理学だ」

バスタルディ氏も同意した。

「ハリケーン・アイダとベッツィーを見てほしい」とバスタルディ氏。「ベッツィーのハリケーン級の風は、西に150マイル、東に250マイル広がっていた。アイダは西に50マイル、東に75マイル。どちらもカテゴリ 4で、同じような圧力だった。しかし、どちらが最悪の嵐だったかは誰も教えてくれない」

NOAAよると、1965年にフロリダ州とルイジアナ州を襲ったハリケーン・ベッツィーは、中心気圧946ミリバール、最大風速132マイル/時だった。2021年にルイジアナ州を襲ったハリケーン・アイダは、中心気圧931ミリバール、最大風速149マイル/時だった。

ただし、NOAAのデータには、ハリケーンの全体的なサイズは含まれていない。

NOAAの1851年から2022年までのアメリカ大陸ハリケーンの影響と上陸データ  (The Epoch Times) 

「今やハリケーンは、海岸を耕す巨大なブルドーザーではなく、怒りの拳のようなものだ」とバスタルディ氏は語る。「(NOAAは)全体像を示そうとはしない。もしそうしたら、みんな驚きや怒りを隠せなくなるからだ」

現在、ハリケーン被害のコストがかかるようになったのは、沿岸部のインフラが整備されたからであり、被害の大きさによるものではない、と付け加えた。

1851年まで遡るNOAAのハリケーンデータは、ハリケーンが悪化していないという前提を裏付けている。

「1900年以前は町や都市がまばらだったため」、ハリケーンが見逃されたり、その強さが過小評価されたりした可能性がある」という注意書きもある。

NOAAのデータによれば、ハリケーンは中心気圧の点でもそれほど深刻ではなくなっているとのこと。

データが不足している可能性を考慮しても、NOAAのデータによれば、1851年から2022年(2023年のデータはまだ含まれていない)の間、中心気圧は年平均0.00013ミニバール低下しており、同じ期間の最大風速は年平均0.00011マイル/時とわずかに上昇している。

この機関では、サフィア・シンプソン・スケールを使用して、最大持続風速に基づいてハリケーンを1から5に分類している。

現実よりも恐怖を煽る

NOAAなどの政府機関は、天候の厳しさが増大していると警鐘を鳴らすことが多いが、見出しだけではわからないとコーエン氏は言う。

例えば、NOAAは2023年のState of the Scienceファクトシート「Atlantic Hurricanes and Climate Change(大西洋のハリケーンと気候変動)」で、「人為的な気候変動はハリケーンとその被害に対してどのような検出可能な影響を与えたか?」と「地球温暖化が続くことで今後どのような変化が予想されるか?」という質問を投げかけた。

その答えは次の通りであった。つまり、「いくつかの大西洋のハリケーン活動指標は1980年以来顕著な増加を示していた」と。

その数段落後、NOAAは、1900年代から現在までのデータから、「米国に上陸した熱帯低気圧、ハリケーン、大型ハリケーンの年間発生数には有意な傾向はなく、それどころか、1900年以降、米国本土上空における熱帯低気圧とハリケーンの伝播速度は減少傾向にある」と述べていた。

コーエン氏は、NOAAのアプローチには問題があると指摘。最初の回答は「恐ろしい」ものであるが、次の見解は、「前述の回答を無視しているものだ」と述べた。

「気候変動のせいにしたり、自然変動性のせいにしたりと、行ったり来たりするので、非常に混乱する。観測された現実ではなく、気候モデルに頼っていることが、政府報告書の問題点の1つだ」とコーエン氏は語った。

国立ハリケーンセンターは2023年8月28日に熱帯性暴風雨イダリアの進路予想を発表した(NOAA/NHC)

NOAAはそのファクトシートの中で、「過去に観測された大西洋ハリケーンの挙動の中で、温室効果ガスによる影響を示す明確な証拠は見つかっていない」と述べている。

「大西洋のハリケーンについて、確信の持てる原因が確立されていないため、将来の予測は気候モデルのみに著しく依存している」

コーエン氏は、実際の観測結果はモデルと一致していないと述べた。

さらに、「『観察結果が一致しないのであれば、観察結果は間違っている』と言う人もいるだろう。しかし、それは逆だ。間違っているのはモデルの方だ」と語った。

バスタルディ氏もこれに同意し、一般の人々に提示されているものの多くはプロパガンダであり、科学ではなく、特定の結果を促進することを意図していると付け加えた。

「気候変動対策は、自由の棺桶に釘を打つようなものだ。1900年代に比べて人口は5倍になり、気候災害の数は50分の1になっている」

「しかし、私たちは大衆洗脳を行なっており、それはすべて漸進的なナンセンスの上に成り立っている。非常に小さなことが増幅され、『物事が本当に悪いことだ』と人々に思わせているのだ」

2023年5月31日、マイアミでメキシコ湾東部の不安定な天候を追跡する国立ハリケーンセンターのハリケーン専門家フィリップ・パパン氏 (Joe Raedle/Getty Images)

CO2排出量

人為的なCO2がハリケーンに影響を与えるかどうか尋ねられたとき、バスタルディ氏は即座に「いいえ」と答えた。

コーエン氏も同意した。「温室効果ガスは、海の上層部ミリメータを除いて海を温めたりしない。深部温暖化は太陽によって引き起こされる。温室効果ガス説は、地球へ逃げようとする熱を海に照射するが、その波長は、海の表皮とも呼ばれる上部数ミリメートルの部分にしか入っていかない程度のものであるため、温室効果ガスが原因で、海洋の熱量が変化することはないのだ」。

「波長の違う直射日光が太陽熱を遮断するために、熱量の変化は温室効果ガスによるものではない」

バスタルディ氏もこれに同意し、気候や、特に海洋における温暖化や寒冷化の原因については、まだ不明な点が多いと述べた。

「海で何が起きているのか、私たちはあまりに知らない」と彼は言う。「11万2千平方マイルごとに1つのデータポイントがある。何が起こっているのかを、かすかに推定する以外、何もない」

2010年7月3日、ルイジアナ州沖のメキシコ湾で、ディープウォーター・ホライズンの流出現場から原油を回収する「ディスカバラー・エンタープライズ」(Joe Raedle/Getty Images)

彼は、1990年以降海洋を温暖化させているのは、海洋の地熱活動の増加だと述べた。一方で寒冷化も予測されている。

「私にとってもっと驚きなのは、今後6か月の間にインド洋が、どれだけ寒くなるかを予測されていることだ。こんなに気温が下がるという予測は見たことがない」

ラニーニャ現象が進行すると、海洋の湧昇により、冷たく栄養豊富な水が地表に浮かび上がり、太平洋のジェット気流が北上する。NOAAによると、その結果、米国南部で干ばつが発生し、カナダと太平洋岸北西部で雨と洪水が増加し、ハリケーンのリスクが高まる可能性がある。

「海洋の温暖化は大きな問題だが、対抗策があるかもしれない。ラニーニャに関して言えば、地球は温暖化している。そして、太平洋に平均より強い東風を発生させ、それは湧昇を意味し、湧昇は海水の冷却を意味する」とバスタルディ氏は語る。

「ラニーニャ現象は、現在起きている温暖化に対する抵抗にすぎない。もしCO2派であれば人工的なものだと考えるだろうし、私なら自然なものだと考えるだろうが、何らかの入力がシャットダウンされたり停止されたりしない限り、海の温暖化は続くだろう」

「実を言えば私たちは、何が起きているかを正確に知るためのデータがないのだ」

エルニーニョの暖流は気温を上昇させ、ラニーニャは逆に気温を下降させる (NOAA)

バスタルディ氏は、今年のハリケーン期間、気候変動のシナリオをめぐって、「政治的なフットボールが展開される」と予測している。

コーエン氏は、「人間にとっての最適な気温」を尋ねられたことが一度もないと語った。

「寒さで亡くなる人の数は、暑さで亡くなる人の数の9倍だ。また、CO2のおかげで、アフリカの収穫量は膨大となり、何百万人もの人々を養っている。こうしたことを伝えず、主要メディアでは、人々を怖がらせるような記事ばかりを報道している。その結果、一般の人々は、『自分たちは悪い状況に向かっているんだ』と考えるようになった。しかし、事実はそうではない」

「温暖な気候の方が良いのだ」

エポックタイムズ記者。エネルギー政策や政治問題を中心にさまざまなトピックを担当。医療業界における検閲や政府との癒着に関する取材も行う。ジャーナリストとしてのキャリアをスタートさせる前は、米空軍で軍用機J-STARSの空挺作戦技術者として活躍。
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