中国共産党国家統計局が16日に発表した第1四半期のGDPは前年同期比5.3%増と、市場予想の4.6%を上回った。しかし、不動産、消費、工業のデータは大きく落ち込み、同日の株価も急落した。専門家は、5.3%は信用できないと見ている。
16日、中国共産党が公表したデータでは、第1四半期の消費財の総売上高は前年同期比4.7%増、固定資産投資は4.5%増となった。
3月単月では、消費財小売総額は前年同月比3.1%増と予想の4.6%増を下回り、昨年7月以来の低い伸びとなった。
中国税関総署が12日発表した3月の貿易統計によると、3月の輸出入総額は米ドルベースで5008.1億ドル(約77兆1232億円)となり、前年同月比5.1%減少した。輸出は7.5%減と昨年8月以来最大の落ち込みとなり、輸入は1.9%減となった。貿易黒字は585億5千万米ドル(約9兆90億円)で、予想の691億米ドルを下回った。
台湾シンクタンク・中華経済研究所の王国臣研究員は17日、大紀元に対し、「GDP成長5.3%はありえない。 経済を牽引する3つのエンジン(消費、投資、輸出)を見ると、消費は4.7%、投資は4.5%、貿易はまだ黒字だが、昨年に比べて0.7%後退している」と述べた。
言い換えれば、「貿易黒字はGDPに比べて相対的に小さいので、貿易を除けば、消費と投資の平均値は4.6%に過ぎない。私の予想したGDP成長はロイターの予想と同じく、4.6%。5.3%成長するというのは少し大げさだ」と指摘した。
独立系コメンテーターの蔡慎坤氏は17日、一部のネットユーザーは昨年と今年発表された公式統計を比較して、「統計局は常識を完全に無視している」とGDP5.3%成長というデータに疑問を呈したとツイートした。
4.5%の投資には6.1%の付加価値?
当局が公表したデータによると、第1四半期の規模以上の工業付加価額は前年比で6.1%増加し、第二産業は6.0%の成長を遂げた。王国臣氏は、これがGDP全体を牽引する理由だと考えている。
「唯一可能な理由は『新質生産力』が大幅に表れたこと。つまり、4.5%の投資で6.1%の付加価値を創出できるということ。これは非常に驚くべきこと」と述べている。
年間に4.5%の投資増がなぜ6.1%の工業成長を生み出すかが不合理かというと、王氏は次のように説明している。
「投資が必ずしも利益を生むとは限らず、また、すべての投資が生産につながるわけではない。なぜなら、投資の中には機器の購入や、生産以外の必要な資金に使われるものもあるからだ」
言い換えれば、「4.5元の投資で6.5元の工業生産能力を生み出すことは、過去の中国本土の経験に反している。中共当局には常に粗放型成長(大まかで締まりがないこと)の問題がある。多額の投資にもかかわらず、付加価値はそれほど高くない」
しかし、第1四半期の投資に対する利益率が非常に高いように見える。これは過去20年の印象とは異なり、だから人々はデータに問題があるのではないかと疑っているわけだ」
低迷続く不動産業界
公式データによれば、今年第1四半期に、中国の不動産開発への投資は前年同期比で9.5%減少した(比較可能な基準で算出)。特に、住宅への投資は10.5%の減少を見せている。
また、不動産会社の債務不履行が相次いでいる。不動産の時代中国控股(タイムズ・チャイナ・ホールディングス)は16日、香港の恒生銀行から15日付で香港高等法院に法的整理を申し立てられたと発表した。その結果、16日には時代中国の株価が0.121元をつけ、半日で40.8%もの大きな下落を記録した。
株式・為替市場の乱高下
16日、中国の株式市場と外国為替市場は急落しており、A株(中国本土のみの国内投資家向けの中国企業株のこと)の3大指数が下落した。終値で上海ハンセン指数は1.65%安の3007.07、深セン総合指数は2.29%安、創業板(チャイネクスト・深セン証券取引所の新興企業向け市場)指数は1.97%安だった。
A株は700銘柄以上が下落、5千銘柄以上が下落、上昇銘柄は300銘柄に満たなかった。
しかし17日にはA株は反発し、終日高く始まり、3大株価指数も高く引けた。 4月17日の取引終了時までに、上海ハンセン指数は2.14%上昇、深セン総合指数は2.48%上昇、創業板指数は2.11%上昇した。
王国臣氏によると、中国本土の株主も当局の統計を信用しておらず、その多くは相容れないものだという。
「不動産市場の下落は今後も拡大することが予想されるため、当然、株式市場も好調を維持することはないだろう」と指摘した。
16日、オフショア人民元は取引開始早々に7.28を割り込み、5か月ぶりの安値を更新した。オンショア人民元は7.2422まで下落し、5か月ぶりの安値を更新、終値は11ポイント安の7.2396だった。
当局が提示した中値は7.1028で、3週以上ぶりに7.1の大台を割り込んだ。 ロイターは、主要国有銀行が為替相場を安定させるため、場序盤にドル流動性を供給したと報じた。
王国臣氏は、「我々の予想では、中央銀行は白とは言わなかったが、その防衛ラインは7.3に設定されているため、いったん7.4のリスクが発生すると、中央銀行に代わって為替レートを保持することができず、対外為替リスクまたは国際収支の危機が派生する可能性があるため、フォローアップして観察する価値がある」と述べた。
また、今回発表された国民経済報告では、「数年ぶりに、金融部門の付加価値が発表されなかった」と、データには微妙な部分がある。
王氏は「ここ数年をさかのぼれば、金融部門の付加価値の伸び率が掲載されているはずだが、今回は掲載されていない。 言い換えれば、銀行の不良債権問題は、報告すらしたくないところまで来ているのだろう」と指摘した
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