アメリカのブリンケン国務長官は中国訪問の最終日に、中国共産党公安部部長の王小洪と異例の対話を行った。
報道によれば、王小洪氏は「両国間の麻薬取締りにおける法執行の協力」を進める意向を表明しているという。
分析では、アメリカに対する「毒を盛る(麻薬を流通させる)」行為が中国共産党のアメリカ弱体化戦略の一環であるため、いわゆる「麻薬取締り」が実効性を持って行われるのは困難だと考えられている。
王毅は習近平に信用されていない?
ブリンケン国務長官は4月24日に上海に到着し、外灘でのビデオスピーチで、特にフェンタニルを含む薬物問題の解決と、アメリカ国民にとって重要な問題への取り組みに焦点を当てた。4月26日には北京で王毅外相と会談し、その後は中国共産党党首、習近平と面会した。
しかし、中国共産党の公式メディアの報道によれば、ブリンケン氏は同じ日に、公安部長の王小洪とも会談していた。
独立系評論家、蔡慎坤氏はソーシャルメディア上で、王小洪氏とブリンケン氏の会談は、これまでの米中関係において極めて異例の出来事であると指摘した。
蔡氏によれば、ブリンケン氏と王毅の約6時間にわたったその日の午前中の会談では、習近平がブリンケン氏と会うかどうかについての情報は伏せられていたが、午後になってから明らかにされ、王小洪氏がブリンケン氏に伝えることになった。
このような重要な情報の伝達を公安部の長官が行うという事実は、習近平に忠実であるとされる王毅が習近平から完全に信用されておらず、習近平の疑念が今回の異例の情報伝達方法から読み取れる。
中国共産党のアメリカへの浸透と破壊戦略
中国メディアに掲載された情報によれば、王小洪公安部長は、ブリンケン国務長官に対し、習近平が掲げる相互尊重、平和共存、相互利益の三原則に基づいて、中国とアメリカの首脳が合意した共通の理解に沿って、薬物厳禁と法執行の分野での協力を推進すべきだと伝えた。
さらに、アメリカは中国からの留学生の問題を迅速に解決し、米中関係を改善するための措置を取るべきだとも述べている。
昨年11月には、バイデン大統領と習近平が薬物厳禁の協力を再開することを宣言したが、アメリカ側は中国共産党がその約束を反故にしていないか疑問を持っている。
中国の企業がフェンタニルを含む薬物をアメリカへ送り続けており、その結果、アメリカ疾病予防管理センターの統計によれば、昨年だけで11万2千人のアメリカ人が薬物過剰摂取により亡くなった。
元アメリカ司法長官ウィリアム・P・バー氏は、中国はただ怠慢なだけではなく、規制された薬物の拡散を意図的に黙認していると述べ、「私たちはもはや中国の善意を期待してはいけない」と強調した。彼はさらに、「中国に対して強い圧力をかけ、責任を果たさせるべきだ」とも述べている。
トランプ政権下で、アメリカはフェンタニルの密輸および販売に対して強硬な取締りを始めた。しかし、蔡慎坤氏によれば、こうした対策はそれほど効果的ではなく、中国共産党は今もさまざまな手段を使ってフェンタニルの原料や派生品をアメリカへ送り続けているとの見解を示している。
雲南省は、中国において大麻栽培を合法化した最初の地域であり、大麻市場分析を行うBrightfield Groupの予測によると、2023年の中国の大麻市場規模は237億ドル(約3兆6942億円)に達する見込みだ。
蔡慎坤氏は、フェンタニルの原料、生産、販売が市場経済の成果ではなく、政府の支配下にあると指摘している。中国の国内での使用ではなく、輸出のためである。
蔡慎坤氏の分析によれば、中国がアメリカへ大量のフェンタニルを輸出している背後には、アメリカの管理体制の甘さが薬物乱用を招いている状況と、中国共産党がその輸出を積極的に支援している事実が存在している。
中国共産党にとって、結果的に外貨を稼ぐ手段であると同時にアメリカ社会の根幹を揺さぶる戦略としても機能している。
中国共産党はフェンタニルで多くのアメリカ人の健康を脅かし、TikTokをはじめとするプラットフォームを介して心理的な影響も与えており、社会の崩壊を促進する手段を駆使し、アメリカに対する戦略的な影響力を拡大している。
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