2020年11月、アメリカのコロラド州に住むロリ・ショット氏の18歳の娘が自宅で自殺した。
ショット氏は大紀元に応じ、娘が死んだ1年半後にやっと勇気を出して娘の日記を読んだところ、「TikTok」と題されたページで、「技術的に言えば、自殺すれば問題はなくなる」と書かれていたことに気づいたと語った。
数か月後、ショット氏は業者に娘の携帯電話を解析させ、「私が彼女のTikTokページを開いたとき、私も同じ感情を抱くようになった」と述べた。
ジャーナリスト兼技術専門家のジェフリー・ケイン氏は、アメリカのZ世代の心理的健康問題の大きな部分がTikTokへの依存によるものだと指摘している。
ケイン氏のチームは13歳の子供に扮し、異なるSNSプラットフォームでアクセス可能な内容や親コントロール設定を比較した。この研究では、青少年のユーザーがTikTokで有害な内容に最も容易に触れることが明らかになった。
しかし、テストによると、アメリカの13歳のTikTokユーザーがアクセスできる有害なコンテンツは、同じ年齢の中国douyinユーザーには表示されない。逆に、中国のユーザーがそのようなビデオを視聴しようとすると、青少年に「不適切」だという公安部の警告が表示される。
ケイン氏は大紀元に「中国共産党政府は、これらのコンテンツが非常に有害であることを明らかに認識している。
中国共産党がバイトダンスをコントロールしていることを考えると、なぜアメリカでTikTokがこれらのコンテンツを流すことを許可し、中国では同じコンテンツが禁止されているのか?」と指摘した。
カナダ識者 米国に追随しTikTok制限を求める
米国では4月、中国企業の運営する動画共有アプリ「TikTok」について事実上の禁止法案が可決し、バイデン大統領が署名した。カナダの識者も追随し、同じような法案の成立を呼びかけている。
マクドナルド・ローリエ研究所(MLI)が公表した報告書によると、TikTokは中国共産党による偽情報の拡散において重要な役割を果たしており、カナダ政府はこの種の外国からの干渉に立ち向かうべきであるとされている。
TikTokは、中国国内で「抖音(douyin)」として知られるアプリの国際版である。MLIは5月14日に報告書を発表し、カナダ政府に対して、アメリカが取った措置を追随するよう緊急に求めている。
アメリカのバイデン大統領は先月、TikTokの親会社であるバイトダンスに対して、1年以内に同アプリを米国会社に売却すると要求する法律に署名した。これを守らない場合、TikTokは米国内で禁止される可能性がある。
ジャーナリストであり研究者でもあるSze-Fung Lee氏は報告書で、バイトダンスが北京に本社を置いていることから、中国共産党がこのソーシャルプラットフォームを通じて影響力を拡大しようとする動きは、今後も増えていくと予測されている。
また、中国共産党の法律は個人や組織に国家情報活動への協力を義務付けており、TikTokが集めたデータが中国政府に渡る可能性がある。
カナダの工業相フランソワ-フィリップ・シャンパーニュ氏は今年3月に、カナダが昨年9月からTikTokのセキュリティチェックを行っていると発表した。
バイトダンスの発表によると、TikTokのユーザー数は2021年に10億人に達した。MLIの報告によれば、TikTokは偽情報を広めたり、政治的意見に影響を与えるプラットフォームとなっている。例えば、「Straits Plus」というアカウントは台湾の政党を非難する複数の動画を投稿し、台湾が戦争と危険な状態にあると主張し、民進党を元凶だ批判している。
報告書によると、「Straits Plus」は中国共産党福建省政府の直属機関が運営しているが、TikTok上ではその政府との関連を示す表示はない。
TikTokのショート動画形式は、その戦略的有効性を高めている。MLIの報告によると、「これらの短い動画は迅速な編集、激しい背景音楽、魅力的な視覚効果が特徴で、中国共産党のメッセージを効果的に強調し、操作可能な感情的反応をしばしば引き起こす」と述べた。
報告書では、中国共産党の法律とアルゴリズムが、いわゆる「正能量(ポジティブエネルギー)」を優先し、「国家の安全を脅かす」内容を排除することを推奨していると指摘している。
その結果、TikTokの「おすすめ」アルゴリズムは、「中国共産党がこのプラットフォームで政治的プロパガンダを広めるのに最適なツールになっている」
トランプ前大統領は国家安全保障のリスクを理由に、ByteDanceにTikTokの売却を要求したが、中国共産党はこの売却に強く反対した。トランプ氏は最終的に大統領令でこのアプリを禁止したが、TikTokは憲法の第一修正条項を根拠に訴訟を起こし、裁判所は大統領令の発効を阻止した。
現在、バイデン政権もバイトダンスにTikTokの売却を要求している。2023年3月、中国共産党商務部報道官は技術輸出の問題を理由に、売却や分離に強く反対した。ウォール・ストリート・ジャーナルによると、最近中国当局はByteDanceに対して、中共政府はTikTokがアメリカで禁止されることを望み、売却は望まないと伝えている。
「政府問責研究所」(GAI)の会長ピーター・シュワイザー氏は、これらの事実が、中国共産党がTikTokのアルゴリズムを「国家機密」と見なしていることを示していると考えている。
同氏は最近、大紀元に中国共産党の真の利益がどこにあるかを示しており、中国共産党はTikTokを単なる商業プラットフォームではなく、自らの影響力を行使するためのプラットフォームにすることを目指していると述べた。
中国共産党の影響力を懸念
「グローブ・アンド・メール」によると、ブリティッシュコロンビア州にあるトンプソンリバーズ大学のロバート・ディアブ教授は、多くの人々がTikTokが中国の企業であることに不安を感じていると述べている。
「中国企業は政府の介入を受けていないわけではない。実際に、(中共)政府から直接影響されている可能性がある」
民意調査機関のLegerが3月23日から25日に行った調査によると、カナダの半数以上の人々がTikTokの禁止を支持しており、66%のユーザーが自分の個人情報が漏洩することを懸念している。
MLIの報告によると、データの安全性が特に懸念されており、TikTokは他のSNS大手企業よりも多くのデータを収集している。少なくとも15か月間、TikTokはメディアアクセス制御アドレス(MACアドレス)を収集している。これらのアドレスはリセットや変更ができないため、長期間にわたってデータを収集することが可能だ。
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