カーニー首相 中国との自由貿易協定を追求する「意向はない」と表明

2026/01/26 更新: 2026/01/26

カナダのマーク・カーニー首相は、カナダは中国との自由貿易協定(FTA)を追求する意図はないと述べた。これは、トランプ米大統領が、カナダが「中国と取引をする」ならばカナダ製品に100%の対米関税を課すと警告したことを受けたものだ。

1月25日、オタワで開催された自由党議員連盟会合を前に、カーニー首相は記者団に対し、カナダには米国・メキシコ・カナダ協定(USMCA)の下で「非市場経済国と自由貿易協定を追求する際は、事前の通知なしに行わない」という義務があることを指摘した。

「中国やその他の非市場経済国と、そのようなことをする意向はない」とカーニー氏は述べた。「中国との間で行ったことは、ここ数年で生じた模索すべきいくつかの問題を是正することだ」

首相は、EV(電気自動車)や農水産品に関する中国との合意について、「バック・トゥ・ザ・フューチャー)」という表現を用いた。これは、かつての良好な通商関係に戻ることを示唆したものだが、当時と異なる点として、中国製EVの輸入台数に上限を設けるといった「追加の保護策」を講じていることを強調した。

「これはUSMCA、および我々が非常に尊重しているUSMCA下の義務と完全に合致しており、今後もその方針で進めていく」とカーニー氏は付け加えた。

カーニー氏は1月13日から17日にかけての訪中時に、北京で中国共産党党首の習近平と会談した。そこで一連の合意に署名し、中国製EVの輸入関税を最初の4万9千台に限り100%から6.1%に引き下げる代わりに、中国側はカナダ産カノーラ油(食用油)の関税を少なくとも年内は85%から15%に引き下げることとなった。

訪中時、カーニー氏はカナダ政府が中国と「戦略的パートナーシップ」にあり、両国関係は「新時代」に入ったと述べていた。また、中国との「パートナーシップ」における進展は「新世界秩序に向けた良い準備になる」とも語っていた。

トランプ氏は当初、カーニー氏の新たな対中合意を気にかける様子はなく、1月16日には記者団に「彼が貿易協定に署名するのは良いことだ。中国と合意できるなら、そうすべきだ」と語っていた。しかし、政権閣僚はカナダの対中合意に懸念を表明。ショーン・ダフィー米運輸長官は、カナダは「中国共産党にEV市場を席巻させたことを後悔する日が来るだろう」と述べた。

その後、トランプ氏も閣僚と同調して合意を批判。1月24日のトゥルース・ソーシャルへの投稿で、カナダが「中国と取引をする」ならば、米国に輸出されるカナダ製品に100%の関税を課すと述べた。

「もしカーニー『知事』が、カナダを中国が米国へ物品や製品を送り込むための『荷降ろし港』にできると考えているなら、それは大きな間違いだ。中国はカナダを生きながらに食らい、企業の破壊、社会構造、一般的な生活様式を含め、完全に食い尽くすだろう」とトランプ氏は書き込んだ。

「知事(Governor)」という呼称の使用は、カナダは米国の一部であるべきだというトランプ氏の持論を反映している。トランプ氏は以前ジャスティン・トルドー前首相に対してもこの称号を使っていた。カーニー氏とはこれまで友好的な関係を維持していたため、この呼び方はしていなかったが、1月20日にスイスのダボスで開催された世界経済フォーラム(WEF)でカーニー氏が米国の政策を批判したことで関係が悪化し、今回の呼称に至った。

同日のその後の投稿で、「中国がカナダを乗っ取るなど、世界にとって最もあってはならないことだ。そんなことは断じて許さないし、起こり得ない!」と断言した。

カナダのドミニク・ルブラン対米貿易相は、トランプ氏の投稿直後となる1月24日の声明で、カナダと米国の関係の重要性を強調し、カナダ政府が中国との自由貿易協定を追求していないことを指摘した。

ダボス会議での演説

先週のWEFにおいて、両首脳が公の演説で互いの対米・対加関係や国際関係に関する発言を批判し合ったことで、カーニー氏とトランプ氏の間の緊張が高まった。

カーニー氏は1月20日の演説で、グリーンランド買収を目指す米国の圧力を批判。「大国」に従わないよう各国に呼びかけ、ルールに基づく国際秩序は「断絶」したと述べた。

一方、トランプ氏は1月21日の自身の演説で、カーニー氏の演説を聞いたとした上で、カナダ首相は「あまり感謝の念がない」と述べ、「カナダは米国のおかげで存続している」と付け加えた。

カーニー氏は1月22日にこれに反論し、「カナダは米国のおかげで存続しているのではない。我々がカナダ人であるからこそ、カナダは繁栄しているのだ」と述べた。

トランプ氏は1月22日後半、ガザ再建を目指す米国主導の「平和委員会(Board of Peace)」へのカーニー氏の招待を取り消すと発表した。

同時に、ハワード・ラトニック米商務長官は同日、カナダ政府が中国との関係を深めようとすれば、近く行われるUSMCAの再交渉を危うくするリスクがあると述べた。

関連特集: 北米・中南米