中国経済が低迷を続ける中、資金の海外流出が加速している。2024年4月、中国企業による銀行からの外貨購入額が2016年以降で最高を記録し、国内経済の不安定さと米国の利上げによる不確実性の中、人民元にかかる圧力が顕著になっている。
4月のデータによると、中国企業が、銀行から購入した外貨量が過去最高に達し、輸出業者はドルから人民元への両替を一時的に控え、また中国の市民も海外旅行に向けて積極的に外貨を求めている状況が見られる。
専門家の分析では、これらの傾向は中国経済の先行きへの不透明感と、中共(中国共産党)政府の政策に対する信頼感の低下を反映していると指摘している。
サウスカロライナ大学エイケン商学院、謝田教授
「中共は継続して新しい通貨を発行し、銀行が債券を購入することで通貨量を増加させている。この政策は人民元の価値を下げる可能性がある。その結果、企業や個人は自らの資産を外貨に換えることが、資産価値を維持する上で最も良い選択だと考えている。特に、外貨を得た企業は、それを人民元に交換せずに保有し続けることを選んでいる」と述べた。
4月には、中国の銀行が、顧客に対して合計367億ドル(約5兆7404億円)の外貨を売却し、2016年12月以来の最高記録を更新した。
恒生銀行(中国)チーフエコノミスト王丹氏
「中国経済の成長が鈍化しており、資金が継続的に流出していることを踏まえると、輸出企業は人民元を保持するよりも外貨を保有する傾向にある」との見解を示している。
ブルームバーグの分析家であるジェラルド・ディピポ氏は、先週の報告書で、中国に対する外国からの直接投資が減少しているのは、米国の高い金利が影響している可能性があると指摘した。具体的には、民間企業ではなく、例えば香港に拠点を置く中国の企業が、より高い収益を追求して、資金を海外に移動させていると分析している。
サウスカロライナ大学エイケン商学院、謝田教授
「米国の金利の上昇と、中国市場の魅力の低下が挙げられる。中国経済が西側諸国、特にヨーロッパや米国との経済的なつながりを少しずつ解消し、対立の姿勢を見せる中、産業チェーンの移転も進んでいる。これらの動きが外国投資家の中国に対する信頼を損ない、さらに米国の連邦準備制度による金利の引き上げが、資金が中国から米国へと流れる一因となっている」と述べている。
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