伝統的価値観を推進し、個々の権利や堕胎から胎児の命を守り、自由市場資本主義のために戦うと公約したのは誰か? 肥大化した政府部門を追及し、赤字支出を削減し、公共予算を削減し、インフレを劇的に抑えることを約束したのは誰か?
そして、中国共産党を公然と「暗殺者」と呼んだのは誰か?
上記全てに該当する国のトップがいる。
その人物は、アルゼンチンのハビエル・ミレイ大統領だ。彼の選挙運動のスタイルは、一般的な政治家と比べれば異質だ。彼は誇大表現を多用し、歯に衣着せぬ物言いは米トランプ前大統領と類似している。
トランプ氏と同様、大統領選挙期間中、ミレイ氏はインテリ層や政治家、メディアなどの間で広く嘲笑の的とされた人物だ。しかし、トランプ氏とは異なり、ミレイ氏は経済学の講師を務めるなどアカデミックな経歴を持つものの、ビジネス界の大物ではない。
ミレイ氏は、乱れた髪や高めの声、熱狂的な身振りに手振り、政治集会でチェーンソーを振り回しながら、政府支出と給与を削減し、インフレを抑え、経済を社会主義から自由市場資本主義に方向転換させると訴えるパフォーマンスを行ったことで話題となった。
各方面から、ミレイ氏の選出に対する警告は悲惨なものだった。
多くの人物が彼の自由主義的な政策がアルゼンチンをさらなる破滅に導くと考えていた。しかし、ミレイ氏は現在、少なくともアルゼンチンの政府支出とインフレを削減するという公約を実現したことで、批判者を黙らせた。
ミレイ氏は政府の給与と公的資金を使用するプロジェクトを削減し、連邦財政を直ちに改善した。インフレ率はこの半年で初めて一桁台になった。財政赤字も逆転し、4か月間財政黒字が続いた。ミレイ氏の自由主義的政策により、第1四半期の財政黒字は16年ぶりに2750億ペソに達した。
しかし、ミレイ氏の政策に副作用がないわけではない。連邦政府が出資するインフラ・プロジェクトは3月に42%急減し、11月から2月にかけて推定5万人の建設労働者が職を失った。アルゼンチン経済が縮小を続けるなか、さらなる雇用喪失が予想される。
経済が縮小するにつれ、物価は下がり続け、インフレによる物価の歪みが経済から取り除かれる間、失業はしばらく続くだろう。ある時点で、物価と需給が正常化し、景気拡大の機会が訪れるだろう。
明らかに、ヨーロッパや南米の世界経済フォーラム(WEF)系社会主義エリートは、ミレイ氏に脅威を感じている。なぜなら、ミレイ氏は国際社会の秩序に関する彼らのトップダウン型、国家主義偏重のナラティブを脅かす存在だからだ。
実際、米ワシントンのシンクタンクである「ケイトー研究所(CATO)」の政策アナリストであるダニエル・レイズベック氏は、Fox News Digitalの取材に対し、次のように語っている。
「自由市場を擁護し、価値の創造者としての企業家やビジネスマンの役割を擁護し、ラテンアメリカや西側諸国の多くが経済を規制する傾向にあったにもかかわらず、規制緩和を擁護している大統領、国家元首がいるという事実……。アルゼンチンにとってだけでなく、この地域全体、そしておそらくその先にとっても、非常にポジティブなことだと思う」
ネオ・リバタリアンのアルゼンチンは、社会主義者たちによって世界の多くの国々で消えかけている聖火を再び灯す存在になるかもしれない。確かにミレイ氏は個性的で熱狂的な人物だが、それの何が問題なのだろうか?彼の経済政策と伝統的価値観は健全だ。彼はアルゼンチンを好転させ、何が可能かを世界に示すことができるだろう。
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