スロバキアのロベルト・フィツォ首相が、自身を狙った暗殺未遂事件について初めて公式に言及し、犯人に対する赦しを公言した。
フィツォ首相は6月5日、フェイスブック上であらかじめ録画された14分間のスピーチを公開した。彼は「今こそ行動を起こすべき時であり、それは赦しを示すことだ。私は自分に銃を向けたその人を恨んではいない。彼に対して法的な手続きを講じるつもりもなければ、損害賠償を請求することもない」と述べた。
「私は彼を赦す。彼自身が行った行為とその背景を自分自身で理解し、整理できるように」と彼はさらに語った。
5月15日、59歳のフィツォ首相は銃撃され、命に関わる重傷を負う。この暗殺未遂事件は、20年以上ぶりに、ヨーロッパの政治首脳が標的にされた大事件で、国際的にも強い非難を受けている。政治アナリストたちは、この事件はスロバキアやヨーロッパの政治情勢が激化し、極端に分かれている状況を物語っていると指摘する。
検察当局は、71歳のユライ・チントゥラ(Juraj Cintula)容疑者を暗殺未遂の犯人として特定した。彼は過去にショッピングモールで保安警備をしており、詩集を3冊出版した経歴がある。事件発生後、警察は彼を素早く逮捕した。ユライ容疑者は、政治的な見解の相違からフィツォ首相に害を加えようとしたものの、殺害する意図はなかったと述べる。
昨年、フィツォ首相は自身3度目となる首相に返り咲いた、10月には正式に就任の誓いを立てる。彼は左派のポピュリストとして認識されており、特にロシアとウクライナの紛争を含む多くの問題において、ヨーロッパの一般的な見解とは明らかに異なる。再選された後の昨年、彼はスロバキアによるウクライナへの軍事援助を中止させ、EUの対ロシア制裁に反対し、ウクライナがNATOに加盟することを妨げようとした。
5日に行われたスピーチでは、フィツォ首相は、これらの政策が自分が暗殺未遂事件のターゲットになった背景にあると述べたが、犯人に対しては憎しみを抱いていないとも強調した。
落ち着いた様子で話したフィツォ首相は、約1か月後には職務に復帰することを約束した。
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