【パリ=6月8日】米国のジョー・バイデン大統領は、パリのエリゼ宮殿でフランスのエマニュエル・マクロン大統領と会談し、ウクライナや中東での戦争、中国のインド太平洋地域における侵略行為と特定産業上の過剰生産について議論した。
ウクライナと中東問題
共同記者会見では、ウクライナ問題が焦点となった。マクロン大統領は、フランスと米国がウクライナ支援に関して一致していることを表明。また、バイデン大統領が最近提案したガザ和平計画への支持も表明した。
バイデン大統領は、6月8日にイスラエル軍が特別作戦で4人の人質をハマスから救出したことを称賛し、残りの人質の解放を呼びかけた。
ロシア資産凍結問題
両国はウクライナ支援に関して一致しているものの、欧州に凍結されているロシア資産の扱いが課題となっている。米国とG7のパートナーは、約2700億ユーロ(約2910億ドル)の凍結されたロシア国有資産をウクライナ援助に活用する可能性を検討している。
記者会見後、凍結されたロシア資産についての立場を問われた際、両首脳はコメントを避けた。ホワイトハウスは、これらの資産は世界中に存在するため、米国が単独で決定できないことを認めている。ホワイトハウス国家安全保障会議(NSC)戦略コミュニケーション調整官ジョン・カービー氏は、「同盟国やパートナーの協力がなければ成功しない」と述べた。
中国の貿易問題への対応
マクロン大統領は記者会見で、中国の不公平な貿易慣行、特に特定産業の過剰生産分について強調した。彼は、米国とフランスが協調して対処する必要があると指摘した。中国企業は、太陽光パネル、風力タービン、鉄鋼、セメントなどの戦略的産業で、急速に市場シェアを拡大しており、その背景には政府の巨額補助金がある。産業過剰生産は、国際的な競争相手や他国の産業発展と革新に悪影響を及ぼしている。
バイデン大統領は会談で、国内の調整と投資の重要性を強調し、最近の中国国家主席習近平との通話で、習主席が特定の車両に対する関税について尋ねた際、北京がルールを守っていないことを伝えたと述べた。
インド太平洋地域での協力
両大統領はまた、インド太平洋地域での海上協力を深化させる方法を模索した。カービー氏は、両国が海上法執行能力を構築し、特に港湾安全に関する技術協力を強化する予定であることを明らかにした。
会談に先立ち、マクロン大統領と夫人のブリジット氏は、パリの凱旋門でバイデン大統領とファーストレディーのジル・バイデン氏を歓迎する式典を行った。凱旋門はフランス革命とナポレオン戦争で戦った兵士たちを記念するフランスの象徴的な建物である。
カービー氏は、「これは私たちの緊密で長い協力関係を象徴する特別な名誉である」と述べた。2022年12月、バイデン大統領はホワイトハウスでマクロン大統領を迎え、これはバイデン政権下での最初の国賓訪問となった。
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