6月17日、中国海警局は南シナ海での領土紛争が続くセカンド・トーマス礁の周辺で、中国の海警船とフィリピンの補給船が衝突したことを公表した。この地域は長年にわたる領土紛争の焦点であり、新たな緊張が高まっている。
中国海警局は、フィリピンの補給船が6月17日の午前5時59分に、セカンド・トーマス礁近くの海域に「不法に」侵入したと表明した。
中国海警局はソーシャルメディアでの声明で、フィリピンの補給船が中国側の繰り返しにわたる厳しい警告を無視し、通常の航行をしている中国の船に故意に危険な接近を行い、その結果、接触事故が起きたと述べている。
中国共産党はこの衝突事故について、全責任はフィリピンにあると断言しており、両船の損傷に関する詳細は明らかにしていない。
フィリピン政府はこの件に関して、すぐにはコメントを出していない。
セカンド・トーマス礁:歴史的背景と現在の状況
セカンド・トーマス礁は南シナ海で領土問題の中心となっている環礁である。フィリピンは、この環礁が自国の海岸線から200海里(約370キロメートル)以内に位置し、国際的に認められた排他的経済水域(EEZ)内にあると主張している。さらに、2016年の国際仲裁裁判所の決定により、中国共産党の南シナ海における領有権主張は無効だとされている。
1999年には、フィリピンが主権を確立するために、シエラ・マドレ号(BRP Sierra Madre)という上陸艦をセカンド・トーマス礁に意図的に座礁させ、そこに監視所を設けている。
頃年、フィリピンの船がシエラ・マドレ号にいる海軍への物資補給を試みる度に、中国共産党の船による妨害行為が続いている。
以前には、中国の海警船が南シナ海の争いのある海域でフィリピンの船に高圧放水砲を使ったり、フィリピンの兵士に怪我をさせる衝突を起こしたりもしている。
最近の動向としては、中国共産党の南シナ海に対する姿勢が一段と硬化しており、紛争が激化する中で、米国と中国の間の軍事的緊張が高まっている状況である。
先月、中国海警局は新たな「海警機構行政執法手続規定」を公表し、6月15日より施行したことを明らかにしている。この新規定により、中国海警は南シナ海に侵入した疑いのある外国人を最大60日間拘束する権限を持ち、また、管轄する海域内の外国船舶に対して発砲することも可能になった。
中国外交部は、この措置が海上の秩序をより良く維持するためのものであると述べている。
先週の金曜日には、G7が中国共産党による南シナ海での「危険な」行動を批判している。
南シナ海は、世界的にも重要な海上貿易路であり、未開発の豊富な石油や天然ガス資源が海底に眠っていると言われている。この地域の領土問題は、中国とフィリピンだけでなく、ベトナム、マレーシア、ブルネイ、台湾も巻き込んでおり、アジアにおける紛争の火種となっている。
アメリカは、フィリピンの軍隊や船舶、航空機が南シナ海で武力による攻撃を受けた場合、フィリピンを防衛する義務があると警告している。
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