中国ロケット墜落事故続発、技術以外の問題露呈

2024/07/04 更新: 2024/07/04

中国の大型運搬ロケット「天龍3号」が、第1段のエンジンの静的テスト中に突如として発射され、墜落後に爆発する事故が起きた。

ロケットの残骸が墜落するのはここ10日間で2度目であり、評論家たちは、中共の宇宙技術が急速に進展している背景には、技術面以外の問題があると指摘している。

轟音と共にロケットが打ち上げられ、数秒後に黒煙が噴出し、その後、推進力を失い墜落した。

6月30日、北京に拠点を置く民間企業の北京天兵科技有限公司は河南省の鞏義市(きょうぎし)にある試験センターでロケットエンジンの静止試験を実施していた際、事故が発生した。

試験中のロケットが山林に墜落し、大規模な爆発と共に濃密な煙が発生した。中国の新聞報道によれば、鞏義市大峪溝鎮の薛莊村の住民はロケット発射前に避難するよう指示されていたが、爆発時には巨大な音が響き、周辺の村々の窓ガラスが一斉に割れた。

天兵科技有限公司は事故当日、事故についての説明を公表した。テスト中に1段目のロケットは正常に点火したが、静止試験のはずが、ロケットとテストスタンドを繋ぐ部分に構造的な問題が生じ、ロケットが発射台から外れてしまったとのことだ。

その後、上昇している最中に、ロケットのコンピュータが自動でシャットダウンし、ロケットは山中へと落下、分解された。

中国メディアの報道によると、「天龍3号」は天兵科技有限公司が中国の衛星インターネットのネットワークを構築する目的で開発した大型の液体燃料ロケットで、性能がアメリカのスペースX社のファルコン9に匹敵すると称している。

アメリカ在住の時事評論家、唐靖遠氏は、最近の事故が示唆するのは、中国共産党(中共)の宇宙技術がアメリカと比べて技術的なギャップが、特定分野に留まらない広範囲にわたっていることだと述べた。

唐靖遠氏は次のように述べた。

「当初の計画では、静止テストを実施することになっていた。静止テストは、ロケットを固定して動かないようにし、エンジンの性能を含む様々なテストを行うのが通常だ。ところが、予想外の初歩的なミスが発生し、ロケットが適切に固定されていなかった。公式の報告によると、ロケットを固定していたフックが緩んでしまい、その結果、ロケットがフックから外れて、実際に打ち上げが行われてしまった」

北京天兵科技有限公司は、中国で初めて液体燃料ロケットの打ち上げに成功したと自称する民間宇宙企業だが、インターネット上では多くのユーザーが「普通の人々はおもちゃの銃を扱うことさえ躊躇するのに、どうして民間企業がロケットを安全に扱えると言えるのか?」「この企業の背後には国の資本があるのではないか? そうでなければ、どのような民間企業が、このような大きなリスクを負うことができるのか?」と疑念を抱いている。

唐靖遠氏は「実際、中国においては、一般の民間企業が航空宇宙技術に手を出すことは不可能だ。北京天兵科技有限公司が運搬ロケットを初めて打ち上げた時、彼らは甘粛省の九泉衛星発射センターを利用したが、この施設は中共軍が管理している。従って、天兵科技は、中共の軍民融合戦略の一環と見なすことができる」と述べた。

中共は、2014年から民間資本の航空宇宙産業への投資を許可している。アメリカに住む時事評論家の藍述氏は、これらのいわゆる民間企業の背後には常に政府の存在があると指摘している。

藍述氏はこう述べた。

「政府の存在とは、資金源のことを指す。これらの民間企業の多くは、元々中共の国家航空宇宙計画に関わる機構であり、独立してからは民間企業として設立され、航空宇宙開発を推進している。また、多くの民間とされる航空宇宙企業には、政府関連の安全要員が配置されているという興味深い事実がある」

唐靖遠氏は「これらの企業は主に、民間企業の偽装をして、企業間の協力などを通じて、西側の先端航空宇宙企業や技術を騙し取ることを狙っている」と語る。

「宇宙の夢」とは、中共政府が推進する「中国の夢」の核心的な部分であり、最近「嫦娥6号」が、月の裏側からサンプルを持ち帰ったのを受け、国営メディアによる大々的な宣伝が行われた。さらに、当局は宇宙飛行士を月へ送る計画にも注力している。

唐靖遠氏は次の様に述べた。

「このような宇宙技術の飛躍的な進展は、中共が集中して力を入れ大きな成果を挙げようとする姿勢が反映されており、その基盤には国家が主導する体制が存在する。この国家主導の体制は、共産党の絶対的な支配を受け入れることが運命づけられており、すべては党の政治的な要請を最優先にすることが要求されている。これは、科学技術が科学的な原則を最優先すべきだという点で、本質的な矛盾をはらんでいる」

これは、10日間で2度目のロケットの破片が落下するという事故だった。前回は6月22日の午後、貴州省にある仙橋村で、突然ロケットの破片が空から落下し、目立つ黄色い煙が立ち上り、村民たちは恐怖を感じて、逃げ惑った。

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