今月15日、山東省済南市で若者集団による、大規模「窃盗事件」が発生した。
中国メディアが情報筋の話を引用して報じたところによると、事件は複数の団地で起きており、合わせて100台以上の自家用車の窓ガラスを割られ、車内の物品が盗まれた。
監視カメラに映った犯人グループ(実行犯は少なくとも3人以上)のメンバーは、いずれも20歳前後と若い。
車両損壊および窃盗被害を受けた市民の一人は「泥棒は何でも盗んでいった」という。「スマホスタンドから、足を載せる置台、最少額のコインまで全部もってかれた」
類似事件が、済南市に限らず、同省の済寧市の各地でも起きており、なかには車ごと盗まれたケースもある。これら窃盗事件の犯人の多くは、若者とされる。
関連ニュースをめぐり、ネット上では、「いまはみんな金がないんだ」「仕事にありつけない若者の、飢え死にしないための最後のもがき」など、窃盗事件を恨みながらも、犯罪を犯さざるを得ない若者の人生のことを考えての嘆きの声も少なくない。
一部地方では、窃盗事件が起きても情報封鎖が行われているようだ。「車を破壊されて警察に通報しても、全く相手にされない。それどころか、ネットに投稿した事件関連情報の削除を求められる」と訴える市民もいる。
「管不了小偷還管不了你嗎?」邦訳すると、「泥棒はどうすることもできないが、あなた1人ならどうにかできる」
問題解決するより、問題提起する市民を封鎖して解決するという。現代中国のリアルを浮き彫りにするこの言葉は、今年の流行語大賞にノミネートされそうだ。
中国では近年、経済の衰退はとどまるところを知らず、失業者数もうなぎのぼりだ。厳しい生存環境に置かれる民衆の自殺率も高く、各種犯罪をはじめ、社会報復を狙った凶悪な事件が絶えない。
しかし、中国共産党当局は大災害や社会報復を狙った凶悪事件などのニュースの拡散を、意図的に押さえつけ、被害状況を「美化」することが多い。しかし、社会全体が「いつ爆発してもおかしくない、火薬庫」となった今、その偽りの平和と繁栄の化けの皮が剝がれる時は、もうそう遠くはないだろう。
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