社会問題 中小学生に至るまでの過敏な反応は、共産党が感じている危機感

中共、青少年への西側文化学習を制限、海外研究を監視

2024/07/27 更新: 2024/07/27

中国のいくつかの地方から、中学生と小学生が参加する海外研究プログラムに関する緊急の通知を出し、「潜在的なイデオロギーのリスク」を防ぐよう求めると報じている。同時に、中共(中国共産党)は世界中の若者たちを中国に招待し、洗脳宣伝活動を行っているのである。

香港のメディア「星島日報」が7月22日に伝えた内容によると、インターネット上で共有されている河南省教育当局の公式文書には、地元の中学生と小学生が参加する「海外研究プログラム」に対する徹底した調査と、「潜在的なイデオロギーのリスク」の排除を指示している。特に、「西側の政治体制を称賛し、西側文明を理想化する」内容についての精査が求められている。

7月10日に発行されたこの公文書には、中学生と小学生が研究活動を計画する際には、その計画を教育機関に提出し、審査を受けなければならないと記載されている。

また、瀋陽市からも似た趣旨の文書がインターネット上で確認されており、これは、中共中央の指導者の「重要な指示」に基づくものであることが明記されている。

米国の中国民主党全国委員会の執行長である陳闖創氏は「中央の指導者からの指示に基づき、調査を実施するよう命じられている。この命令は政治局常務委員レベルの高官によるもので、王滬寧、蔡奇、あるいは習近平自身の可能性が考えられるため、各地域で迅速な対応が見られる」と述べた。

甘肅省臨夏市の教育局は、7月12日に公式の微信アカウントを通じて、地元の中学生と小学生を対象とした「海外研究団」に関する調査結果を発表した。

また、上海市、河北省、広西省、山西省の保護者たちからも、同じような調査に関する通知を受け取ったという報告が寄せられている。

上海の保護者の一人が、学校からの調査通知を公開し、保護者に対して、子供を様々な団体が開催する「支援教育研究学習」の活動に登録しないようにとの呼びかけを行った。この保護者は、「公式の発言を目にするのは、これが初めてだ。一体何が起こっているのか?」と疑問を呈している。

山西省の保護者からは、学校から特定の研究学習団体に関する通知を2度にわたって受け取り、その団体に子供が参加している場合は、直ちに担任教師に緊急で連絡するよう求めるメッセージが届いている。

陳闖創氏は、「小中学生の海外遊学は、短期間の海外旅行であり、大学訪問に留まるものだ。それが現実だ。成人や過去のリベラルな知識人に対する中共の警戒は、理解できる面もあるが、小中学生に至るまでの過敏な反応は、共産党が感じている危機感の大きさを物語っている。これは明らかに過剰な反応だ」と述べている。

一方、中共は中国人の海外の研究学習団体に対しては、厳しい姿勢を見せる一方で、外国の若者には、国の門戸を広げている。

中共系メディアの報道によると、米国の7州から来た14の学校の約190人の教師と生徒からなる米国青少年交流団が、7月10~13日にかけて上海を訪問した。

報道によると、この交流プログラムは、習近平が打ち出した「今後5年で5万人の米国の若者を中国に招待し、交流学習を行う」という提案の一環として重要な役割を果たしている。

中新網が伝えるところによると、湖北省の僑務オフィス、武漢大学、武漢市の僑務オフィスが共同で主催する2024年の「湖北訪問ツアー」夏季キャンプが7月15日に武漢で開催され、9か国と地域から集まった120人の海外校友の子供たちが参加した。

米国在住の時事評論家である藍述氏は、「中共は一方で西側の人の思考をコントロールしようと試み、もう一方では中国の市民が西側の自由な社会の実情を知ることを阻んでいる。留学生を海外に派遣し、西側の最先端技術を学ばせ、共産党に利益をもたらそうとしている」

陳闖創氏によると、毛沢東時代にさかのぼると、中共は、香港を通じて海外の学生に対して愛国心を植え付けるための洗脳教育を施していたと語る。

「海外の若者たち、特に外国籍を持つ若者たちを、共産党に盲目的に従わせる洗脳は難しいかもしれないが、彼らを中国へと招き、美しい自然や豊かな文化を体験させることで、影響を受けやすい若者の心に訴えかけることはできる。中共は子供たちの心を早い段階でつかむことを狙っており、私たちはその動きに警戒が必要だ。西側の国々は、このような大規模な招待に莫大な資金を使うことはしない」

また、陳氏は西側諸国も中共のこの手法に対抗するために、同等の対策を取るべきだと主張し、自国の子供たちが、中共の影響下に置かれることなく、洗脳されることを防ぐべきだと強調している。

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