EUのEV関税に異を唱える中共 欧州委員会はWTOルール準拠を主張

2024/08/12 更新: 2024/08/12

EU(欧州連合)は北京政府からの苦情を受けて中国製EVに課した関税が、国際貿易ルールに準拠していると「確信している」と述べた。

8月10日、中国共産党政府はEUの中国製EVに対する反補助金関税に関して、WTOとの協議を要請した。これに対し、欧州委員会は、この動きが中国補助金に関する現在進行中の調査に影響を与えることはないと述べた。この調査は中国製EVに関税を課す暫定的な決定につながったものである。

先月、ブリュッセルは、中国で製造されたBEV(バッテリー電気自動車)の輸入品に対して、17.4%から37.6%の暫定関税を課すと発表した。

この措置は、8か月間にわたる調査の結果、「中国のBEVバリューチェーンが不公正な補助金を受けており、EUのBEV製造業者に経済的損害の脅威をもたらしている」と判明したことを受けたものだ。

暫定関税は、17.4%の関税が課せられるBYDなどの中国ブランドのほか、中国で製造される西側ブランドにも影響を与える。

欧州委員会は当時、中共政府との間でWTOに準拠した解決策を目指して交渉が進行中であると述べた。

9日、中国商務省の報道官は、EUの反補助金措置に対して、中共政府がWTOの仲裁メカニズムを発動することを正式に発表した。

同省が公開した記録によれば、その報道官は、EUの暫定的な調査結果が「事実と法律の根拠を欠き、WTO規則に著しく違反し、気候変動に対する世界的な対応を損なう」と述べている。
これに対し、欧州委員会の報道官は、「委員会は、調査および暫定的措置がWTOに準拠していると確信している」と述べた。「このWTO協議の要請は、反補助金調査のタイムラインには影響を与えず、その間も調査は続けられる」としている。

欧州委員会は11月までに補助金反対調査を終了し、最終決定を下す予定だ。

政府の補助金増加もあり、中国は近年、EV車両とバッテリーの主要供給国となっている。2021年には世界のEV用リチウムイオンバッテリーの約80%が 中国製となり 、2023年までには欧州で販売されるEVの約5台に1台が中国製となる。

EUの暫定関税は、バイデン大統領が5月に中国製EVの関税率を25%から100%の4倍に引き上げるよう命じた後に導入された。

一方、カナダ政府は最近、カナダの雇用を守るために中国製EVに関税を課す計画に関する30日間の意見公募を終了した。

6月に協議を開始した際、クリスティア・フリーランド副首相は、中国がEVの過剰生産を目的とした「意図的な国家主導の政策」を持ち、それがカナダのEVセクターを弱体化させていると非難した。また、これらの中国製車両は劣悪な労働基準や環境基準で製造されているとも述べた。

一方、中国のEVおよびEVバッテリーメーカーは、関税を回避するために海外に工場を設立しようとしている。

BYDは先月、トルコに工場を建設するための10億ドル(約150億円)の投資契約を締結した。トルコはEU関税同盟の一部であり、英国への車両輸出に対してゼロ関税が適用される。
 

ある専門家は大紀元に対し、もしBYDが関税を回避できれば、英国のメーカーが中国の競合他社と競争するのは非常に困難になるだろうと語った。

しかし、トルコや他の地域に工場を設立して関税を引き下げるためには、輸出製品が原産地規則を満たす必要がある。その場合、中国製部品で組み立てるのではなく、車両の一定部分はその国で製造しなければならない。

Lily Zhou
関連特集: 欧州・ロシア