社会問題 中国産激安月餅は安全?

あす「中秋の名月(十五夜)」 中国で爆売れ1元月餅 「食べる勇気あるか?」 

2024/09/16 更新: 2024/09/17

あす9月17日が、今年の「中秋の名月(十五夜)」である。

中国で、この日は「中秋節」と呼ばれており、家族団らんで夜空の月を見ながら、満月をかたどった焼き菓子の月餅(げっぺい)を食べるのが華人圏の慣わしとなっている。

中秋節を控えた中国における月餅市場は今年も、とにかく「売れない」状況が続いていたが、15日から「1元月餅が飛ぶように売れている」というトピックスが中国SNSにトレンド入りし、話題になった。

1元というと、日本円にしたら約20円。

中国メディアも、「ネット上で爆売れの1元月餅を食べた消費者から食感や安全性に関する議論が盛り上がっている」として、この話題を相次いで取り上げている。

中国のとあるECサイトで「月餅」のキーワードで検索かけ、検索結果を販売数順に設定すると、上位にランクインするのは各種「1元月餅」だった。

「1元月餅」といっても、その大きさと種類は統一しているわけではないが、ほとんどが1個40~50gだ。

 

中国のECサイトで販売されている「1元月餅」 (中国のネットより)

 

「会社から職員全員に小さな月餅が配られた」という女性ユーザーは、「まさか噂の1元月餅でないだろうな」とドキドキしながらも勇気出して味見、そうしたら「味はまずまずで、そこまで悪くなかった」とSNSに明かしている。

このように、コストを抑えられて、職員への「福利厚生」にもなるということで、この「1元月餅」を大量に仕入れて、職員に配る会社も多いようだ。

例えば、単価1.2元(約24円)の月餅の場合、800個以上のまとめ買いで、単価は1元に下がり、配送無料になる。

中国メディアまでも宣伝(?)に乗り出した「1元月餅」について、SNS上では、

「自分で月餅作ろうとしたら1個5元(約100円)はかかるぞ」
「普通に買ったら8元(約160円)以上かかるのに、1元は安すぎて、逆に怪しい」
「安かろう悪かろう」
「とても食べる勇気はない」といった不安も広がっている。

なかには「会社はカネないんなら福利厚生などやらなくていいから。ニラ(搾取される庶民の例え)の命だって命だと知れ!」といったリアルな声も。

というのは楽しい年中行事の主役である「月餅」は毎年のことだが、「中秋節」が近づくと、華人圏では「市場に大量流通している偽物や、体に悪い危険な中国産月餅」に対する注意の呼びかけが必ず起こっている。また月餅の中から「人の歯」といったゾッとする異物が、混入されていたなどのニュースが相次いでいるため、月餅の安全性に対する注目がとても高まっている。

 

「中秋財」

中国には「中秋財」という言葉があるほど、商業倫理や消費者の健康を完全無視した利益追求しか眼中にない悪徳業者があまりに多い。

その結果、安全性の問題が相次いで暴かれ、そのうえ経済悪化に伴う消費低迷の背景も加わり、「今年も月餅が売れない」といったトピックスは中秋節前に何度もSNSにトレンド入りしている。

例年ではピーク時(中秋節の半月前)には夜通しで出荷作業を行ってきた深センのある月餅工場では、今年はあまりにも暇すぎたのか、「3日操業したら1日休む」ようになっている。

この悲惨な現状について、「我々消費者の健康を重んじなかった、悪徳商人は自業自得だ」とする世論の声は根強い。

なお、今年は中国山西省の特産品である「空殻月餅(中身からっぽ月餅)」という変わりモノ月餅が、ネット上で話題になって、「売れ行き良くない月餅業界」のなかにおいては、売れ行き好調だそうだ。

山西省特産品の「空殻月餅(中身からっぽ月餅)」 (SNSより)

 

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李凌
エポックタイムズ記者。主に中国関連報道を担当。大学では経済学を専攻。カウンセラー育成学校で心理カウンセリングも学んだ。中国の真実の姿を伝えます!
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