中国では10月6日に中秋節を迎える。家族で月を眺めながら月餅を食べ、再会と豊作を祝う日だ。
その中秋節を前に、中国各地で「奇抜グルメ」が続々と登場している。なかでも話題をさらったのは、山東省臨沂市(りんぎ)の食品会社が発売した「コオロギ入り月餅」である。
この月餅は、人工的に養殖されたコオロギを洗って乾燥させ、粉末にして餡(あん)に混ぜて作られる。見た目はごく普通の月餅だが、原料を聞いた消費者は誰もがドン引きする。ネット上では「次はゴキブリ月餅が出るのでは」「話題づくりもここまで来たか」と皮肉る声が相次いだ。
(コオロギの粉末を使った月餅)
各地でも「珍味合戦」は過熱している。山西省では「老陳酢(ろうちんす)月餅」――長期間熟成させた黒酢を使った酸味の強い月餅が登場。河南省では「胡辣湯(フーラータン)月餅」――トウガラシとコショウを効かせたスープを餡に練り込んだスパイシーな一品。四川省では、発酵豆腐特有の強烈な匂いが特徴の「臭豆腐月餅」まで登場した。
本来、月餅は「団らんの象徴」だったはずが、いまや「話題づくりの実験台」になっている。
SNSでは「奇抜さで注目を集めようとする時代と言われても、月を愛でる夜くらいは、昔ながらの甘い月餅を味わいたい」「せめて子供のころの味だけは奪わないでほしい」といった声が多く上がっている。
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