中国では今、景気の低迷による「史上空前の就職難」が大きな社会問題になっている。
一流大学を出ても「卒業したら失業」と言われるなか、中国当局は失業率を下げるために、大学生の在学期間を延長させようと、学生の大学院への進学を奨励している。
大学院への進学枠を確保するために、学生たちは少しでも有利になるように、学校が出す「ポイント」を稼ごうとする。「学ぶため」ではなく、いまでは「ポイントを稼ぐ」ことが大学生たちの大きな目標となった。
学生たちは、ポイントを稼ぐために、学びたくもない授業をイヤイヤ受け、好きでもない競技に出る。資格取得にも努力をし、献血もする。
時には、ライバルでもあるクラスメイトを引きずり下ろすために、「学生同士の密告」も日常茶飯事だ。「寮に禁止物品を持ち込んだ」などと告げ口し合う環境のなか、学生たちは心を閉ざし、隙を見せまいと緊張した大学生活を送ることを強いられている。
中国メディアの鳳凰網(9月27日付)は「狂った大学院進学(《瘋狂的保研:舉報同學,獻血加分,規則盲盒》)」と題する記事のなかで、大学院進学を目指す現代中国大学生の苦しい実態について伝えた。
同記事によると、いまや大学院に進学することが大卒者の主な「出口」になっている。今年6月、中国の少なくとも11の大学では「大卒生の大学院進学率が7割を超えた」という。
いっぽうで、大学院の定員は増加しており、在籍期間の延長を公表するところも相次いでいるが、それでも「大学院進学」は競争が極めて激しいという。
学科の高得点を狙って、教師に顔を覚えてもらい、良い印象を持ってもらうために、常に前列に座り、定期的に質問をする。そして節日になると必ず祝福メッセージを送る人もいるという。
しかし、どんなに頑張っても、大学が出す「ポイント」がどのように加算されていくのかは、学生たちは知らない。それでも、学生たちは自分のすべてを賭けている。
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