IMF・世界銀行年次会合 米大統領選の影響に注目

2024/10/23 更新: 2024/10/31

IMF世界銀行の年次会合が開催される中、米大統領選の結果が国際金融機関に与える影響に注目が集まっている。トランプ再選なら中国との関係見直しの可能性、ハリス当選なら多国間協力の推進が予想される。アメリカの政策変更が世界経済に及ぼす影響を探る。

国際通貨基金(IMF)と世界銀行(World Bank)の最大の資金提供国はアメリカである。2週間後に行われる大統領選を考慮すると、前大統領トランプがホワイトハウスに戻る場合、これらの機関は北京との関係を再評価し、対等原則を求める可能性がある。

副大統領ハリスが当選すれば、気候変動問題において多国間協力を進め、アメリカに対してより多くの資金を投入するよう求めることが期待されている。

「アメリカは確かにこれらの組織の主要な資金提供者である」と、グローバル開発センターの上級研究員であり、元アメリカ財務省の官僚であるクレメンス・ランダース(Clemence Landers)は『ポリティコ』(Politico アメリカの政治に特化したニュースメディア)に語った。

「選挙結果は明らかに、アメリカの今後の資金提供の規模に重大な影響を与えるだろう」

ハリス当選時の多国間協力への期待

公的通貨金融機関フォーラム(OMFIF)のアメリカの議長であり、元アメリカIMF代表のマーク・ソベル(Mark Sobel)氏は『ポリティコ』に対し、これらの二大金融機関が現在緊張していることを指摘し、出席者たちが「アメリカの選挙が多国間主義、相互依存、そしてアメリカのグローバルな役割の未来に与える意味」について裏で重点的に議論していると述べた。

ハリス氏は多国間機関に対してより包容的な態度を持つ可能性はあるが、国内の有権者のニーズも考慮する必要がある。

バイデン-ハリス政権の官僚たちは、アメリカが国際金融機関に参加することを引き続き支持し、これらの機関が中国の経済政策による負の「波及効果」に対処する上で重要な役割を果たしていることを強調している。

今月、アメリカ財務省の高官が、国際通貨基金(IMF)に対して、中国の融資と為替政策の監視を強化するよう求めた。

計画によると、バイデン政権は12月に国際開発協会に追加資金を提供することを約束している。この協会は世界銀行の一部門で、最も貧しい国々への融資を専門としている。同時に、政府は今後1年間で国際開発、保健、気候基金のために、1千億ドルを調達する計画で、適切な資金支援を得ることを望んでいる。

これらの資金を獲得するには、新しいアメリカ政府と議会の承認が必要である。グローバル開発センターなどの組織は、来年の資金調達が、すでに困難に直面していると指摘している。

外部の予測によると、ハリス氏はバイデン政権の政策を引き継ぎ、より多国間の秩序に対して、包容的になることが期待されている。しかし、ハリス氏もトランプ氏も、アメリカのラストベルト地域の有権者に迎合するような政治的主張を展開しており、中国との関係に対して強硬な立場を取ったり、彼らに課すべき関税などで高コストの選挙公約を掲げたりしている。

中東とウクライナの戦争が続く中、世界の多くの地域は低成長と高リスクの債務水準に直面している。アメリカ経済は一見繁栄しているものの、有権者は一般的に4年前よりも生活水準が低下していると感じているという。

今後、ホワイトハウスと議会の権力バランスが、国際金融機関に大きな影響を与えるだろう。

トランプ再選の場合の変化

トランプ氏は改革を求める可能性があり、同時に北京に対してより多くの責任を求めるかもしれない。

オバマ、トランプ、バイデンの三政権で財務省に勤務していたマット・スワインハート氏は「ポリティコ」に対し、「もしトランプ氏が再選されれば、今後の審査は、北京がこれらの世界金融機関からどのように利益を得ているか、またはどのように関与しているかに焦点を当てるだろう」と述べた。

この闘争が来年はピークに達する可能性があり、その際国際通貨基金(IMF)は寄付国の割り当てを再調整し始めると予想されており、北京に対してその経済規模を反映するためにより大きなシェアを与えることを検討するかもしれない。これにより北京はより多くの投票権を得ることになるという。

世界銀行のアジャイ・バンガ(Ajay Banga)総裁は、先週の記者会見で、同銀行の別の主要な貸付部門がトランプ政権の初期に、実際に顕著な寄付金の増加を得たことを指摘した。

トランプ政権下で財務省に勤務し、その後IMFのナンバー2(現在はゴールドマン・サックスに勤務)のジェフリー・岡本(Geoffrey Okamoto)氏は、「トランプ政権は、(世界金融機関)の必要な改革に対して、資源を増やす上で重要な役割を果たした。その中には絶対に必要な改革も含まれている」と述べた。

ただし彼は、これらの金融機関が、トランプ氏との交渉は非常に困難であることに気づくかもしれないとも付け加えた。

岡本氏は、アメリカが大規模な対外援助予算を持っているため、多くのケースで二国間支援を行うことが可能であると指摘している。しかし、トランプ政権を含むアメリカ政府は、IMFを多国間の手段として活用し、アメリカの重要な地政学的同盟国であるヨルダンに対して、経済支援を行った事例もあるという。

林燕
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