トランプ次期大統領、ブルック・ロリンズ氏を農務長官に指名

2024/11/24 更新: 2024/11/24

トランプ次期大統領は11月23日、ブルック・ロリンズ氏をアメリカ農務省(USDA)の次期長官に指名したと発表した。

「ブルックはアメリカ農業従事者を支え、食料自給を守り、小規模農村地域の復興を目指している。彼女の熱意と献身は群を抜いている」とトランプ氏は声明で述べた。

ロリンズ氏はテキサス州グレンローズで農家の家庭に育ち、若い頃からFuture Farmers of America(FFA)や4Hクラブ(農業青年クラブ)に参加していた。テキサスA&M大学で農業開発を専攻し、農業への深い理解を持つ。

ロリンズ氏は23日の投稿で、指名についてトランプ氏に感謝の意を表した。

「アメリカの農家と我が国の農業コミュニティのために戦うことは私の人生の栄誉となるだろう」。

また、2016年にはトランプ氏の経済顧問委員会に所属し、1期目の政権では国内政策会議やアメリカイノベーション局の局長を務めた。その後、America First Policy Instituteの最高経営責任者(CEO)として活動していた。

ロリンズ氏はSNS「X」で、「アメリカの農業従事者と農村コミュニティのために尽力できることは人生最大の名誉だ」と感謝を表明した。

農務省の役割と課題

現在、農務省の長官はトム・ヴィルサック氏(元アイオワ州知事)が務めており、同省は10万人の職員を抱え、2025年度予算案では250億ドルが計上されている。

農務省の公式サイト には、同機関は「公共政策、入手可能な最良の科学、効果的な管理に基づき、食料、農業、天然資源、農村開発、栄養、および関連する問題に関してリーダーシップを発揮する」と記載されている。

同省は食品安全農業輸出政策、動物福祉、栄養表示管理など幅広い業務を担い、さらに米国森林局を通じて193万エーカー(1エーカーは4047平方メート)以上の国有地も管理している。

また、トランプ氏の米国の農業貿易赤字に対する懸念は、対外農業局がその分野で重要な役割を果たしていることを考えると、農務省に影響を及ぼす可能性がある。トランプ氏の政策課題「Agenda47」には農業貿易赤字や食生活と健康問題が含まれており、農務省がこれらの課題解決で果たす役割が注目されている。

ファームビルと予算の問題

同省の毎年の予算要求は、連邦政府の最も複雑でわかりにくい予算とよく言われる大規模な包括予算である5年間の農業法案に組み込まれている。

ロリンズ氏が直面する大きな課題の一つが、2024年の延長措置が取られた農業法(ファームビル)の5年間の新法案をを早急に採択させることである。

農業関連法案は、年間配分の基準として複数年にわたる見積もりに基づく義務的資金のみを認可する。これらの法案には裁量的支出は含まれない。

農務省の2025年度予算概要によると、実際の年間要求額は2133億ドルで、農業法に基づく義務的プログラムに1817億ドル、裁量的予算に316億ドルが計上されている。これは2024年度の水準より6.84%、21億6千万ドルの増加となる。

この法案は農業補助金や土地保全プログラムなどを含む広範な予算措置を提供するもので、農業従事者や関連産業にとって極めて重要だ。特に、小規模農家は高まる労働コストや農地喪失といった課題に直面しており、これらへの対応が急務とされる。

今後の優先事項

ロリンズ氏はまた、小規模な家族経営の農場が廃業に追い込まれていると訴える人件費の問題にも対処し、開発による農地の消失の加速を食い止めなければならない。

米国農務省によれば、米国の農場は1980年に比べて54万4000軒減少しており、かつて耕作されていた1億5100万エーカー以上の土地ではもはや商業用作物の生産が行われていない 。

ロリンズ氏が直面するその他の問題としては、市場価格が目標水準を下回った場合に農家を支援するための「基準価格」制度の見直し、農務省による商品信用公社の管理強化、2022年のインフレ抑制法による一時的な保全資金をFam法案に恒久的に組み込むかどうかなどがある。

ロリンズ氏が農業従事者の負担軽減と業界の発展にどう貢献するのか、今後の成果が注目される。

 

エポック・タイムズ記者。国政を担当し、エネルギーと環境にも焦点を当てている。核融合エネルギーや ESG から、バイデンの機密文書や国際的な保守政治まで、あらゆることについて書いている。米国シカゴ拠点に活動。
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