中共が川を武器化? ダム建設にインドやバングラディッシュが反対

2024/12/30 更新: 2024/12/30

中国共産党(中共)は最近、チベット高原の東側に位置するヤルツァンポ川の下流で、大規模な水力発電プロジェクトを承認した。このプロジェクトに対して、ヤルツァンポ川の下流にあるインドとバングラデシュは、水資源が不足することを懸念し、反対の意向を示している。また、人権団体もこのプロジェクトが地域の生態系に悪影響を及ぼすことを心配している。

新華社の報道によれば、12月25日に中共がヤルツァンポ川下流の水力発電プロジェクトを承認したと発表した。このプロジェクトは年間3千億キロワット時の発電を見込んでおり、これは三峡ダムの発電量の3倍に相当する。

ワシントン・ポストの報道によると、このプロジェクトの総費用は1兆元に達する可能性があり、三峡ダムの建設費用2542億元を大きく上回るとされている。

一部の専門家は、中共がダムを建設する理由は、短期的にGDPを押し上げ、経済を活性化させるためだと考えている。

アメリカ在住の時事評論家 唐靖遠氏は次のように述べた。
「現在、中国経済全体は下降局面に入っている。このような状況の中で、中共が単に高負債モデルに依存して経済を押し上げようとしても、実際には効果がないだろう」

実際、中共が進めるこの大規模プロジェクトの建設は、国内外で懸念を引き起こしている。

人権団体は、水力発電所がチベットの自然景観を根本的に変え、生態系を破壊し、地域住民を立ち退かせることになると警告している。

台湾国防安全研究院の洪銘徳氏は、「ヤルツァンポ川は地震活動が頻繁な地域に位置している」と指摘し、「ダムの建設によってヤルツァンポ川流域の災害リスクが大幅に増加し、地滑りや天然ダムの形成の可能性が高まる」と述べた。

地域の生態系への影響だけでなく、ヤルツァンポ川の下流に位置するインドとバングラデシュは、この発電プロジェクトが下流の河川の流量や河道を変え、数百万人の生計に影響を与える可能性があることを懸念し、反対の声を上げている。

さらに、洪銘徳氏は、インドが中共によるヤルツァンポ川の「武器化」を懸念していると指摘している。中共は水源を遮断したり、洪水を引き起こしたりすることで、下流国に対抗する可能性がある。

専門家たちは、中国国内にこのプロジェクトの必要性はないと考えているようだ。

ドイツ在住の水利専門家である王維洛氏は、中国の現在の電力供給は過剰であり、多くの太陽光発電が遊休状態にあるため、ヤルツァンポ川の下流に水力発電所を建設する必要はないと指摘している。

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