日本電信電話(NTT)は、2025年6月に開催予定の定時株主総会で社名を変更する。この決定は、民営化から40年という節目を迎え、次世代情報通信基盤「IOWN(アイオン)」の展開や国際化を推進するための一環だ。日本経済新聞など日本の大手メディアが報じた。
島田明社長が日本経済新聞のインタビューで、「(民営化した)40年前のものを全て維持する必要はない。時代に合わせて変わっていく必要がある」と述べ、25年4月に新社名を固め、翌5月に公表する計画を示した。
背景には、現在の事業内容が「電信」や「電話」といった既存の社名と合致していないことがあった。NTT側はNTT法改正議論の中で、「自社で社名変更できるようにしてほしい」と要望。2024年4月に改正NTT法が成立し、社名変更の法的要件を満たした。
同社の事業構造は変化している。固定電話を含む地域通信事業の営業収益に占める割合が約2割に低下する一方、グローバル・ソリューション事業が成長し、全体の約3割を占めるようになった。
社名変更を機に、ブランドイメージを刷新し、新社名によりブランド力を高め、国際展開を加速させることが期待される。
成長戦略の柱「グローバル・ソリューション事業」
グローバル・ソリューション事業は、NTTグループのグローバルビジネス成長戦略の重要な柱として位置づけられており、コンサルティングサービス、クラウドサービス、データセンターサービス、マネージドサービス、システム・ソフトウェア開発などの多様なITサービスを提供し、データセンタービジネスやマネージドサービスといった成長分野にも注力し、グローバル市場での競争力強化を図っている。
主な取り組み例として、同社は2023年8月、三菱UFJ信託銀行株式会社とデジタル社債向け標準化インフラの構築を進めることについて合意し、また、スペインのFerrovial Corp.と、空港・道路・鉄道などの交通分野、エネルギー供給網などの社会分野のインフラストラクチャー市場におけるデジタルビジネスの創出に向けた戦略的提携に関して合意したとウェブサイト上で伝えている。
次世代情報通信基盤「IOWN(アイオン)」
次世代情報通信基盤「IOWN(アイオン)」の技術的特徴は、通信ネットワークの全区間で光波長を専有し、フォトニクスベースの技術を導入し、従来の通信インフラと比較して、大幅に向上した通信速度と容量を提供することだ。10Gbpsから最大800Gbpsまでの帯域を選択可能としている。また、従来比1/200の低遅延を実現し、他のユーザーのトラフィックの影響を受けない「ゆらぎゼロ」の通信を提供する。さらに、光ベースの通信により、エネルギー効率が大幅に向上する。
サービスは、NTT東日本およびNTT西日本の全エリアで提供する予定。コネクテッドカー、自動運転、遠隔医療など、様々な分野での活用が期待され、次世代通信規格6Gを最大限に活かすための通信インフラとして位置づけられている。
IOWNは、これらの特徴により、現在のインターネットインフラの限界を超え、社会全体に広範な影響をもたらすことを目指している。
この社名変更は、NTTが時代の変化に適応し、グローバル企業としての地位を強化するための重要な一歩となる。
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