財務省が5月12日に発表した2024年度(令和6年度)の国際収支統計速報によると、日本の経常収支は30兆3771億円の黒字となり、比較可能な1985年度以降で過去最大を記録した。黒字額は前年度から4兆2107億円増加し、2年連続で過去最高を更新したかたちだ。
経常収支とは、国が海外との間でどれだけお金を稼いだかを示す指標で、貿易やサービスの収支、海外投資からの利益などが含まれる。今回の黒字拡大の主な要因は、海外の子会社から得られる配当金や、海外での投資による利子などを示す「第一次所得収支」の大幅な増加である。2024年度の第一次所得収支は41兆7114億円の黒字となり、こちらも過去最大を更新した。
この背景には、円安の進行がある。円の価値が下がることで、海外で稼いだお金を円に換算した際の金額が増え、日本企業の海外子会社からの収益や投資収益が膨らんだためだとされている。
一方で、貿易収支は4兆480億円の赤字となった。輸出は半導体製造装置などを中心に増加し、4.1%増の106兆2390億円となったが、輸入も原材料やエネルギーなどの価格上昇で4.3%増の110兆2870億円となり、赤字幅が拡大した。
サービス収支も赤字だったが、赤字幅はやや縮小した。旅行収支は外国人観光客の増加などで過去最大の黒字となったものの、全体では依然として赤字が続いている。
今回の経常収支の黒字拡大は、国内の生産や輸出だけでなく、企業の海外展開や投資活動が日本経済に大きな影響を与えていることを示している。今後も為替の動向や世界経済の変化が、経常収支にどのように影響するか注目される。
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