ホンジュラスが米軍基地の閉鎖を警告 米国の大量国外追放計画への対応として

2025/01/05 更新: 2025/01/05

ホンジュラスのシオマラ・カストロ大統領は、次期トランプ政権がホンジュラス国民の大量強制送還を実施した場合、アメリカ軍基地の閉鎖を検討すると述べた。

1日のテレビ演説で、カストロ大統領は次期ドナルド・トランプ大統領に対し、ホンジュラス市民に対する「不必要な報復」ではなく、「建設的で友好的な」対話を行うよう促した。

ホンジュラスは、アメリカに不法滞在している市民の数が最も多い国の一つとなっている。

米国土安全保障省の最新データによると、2022年時点で約56万人のホンジュラス人(中米の同国人口の約5%)が不法移民としてアメリカに滞在していたとされている。

カストロ大統領は次のように述べた。「我々の同胞の大量追放という敵対的な態度に直面した場合、特に軍事分野において、アメリカとの協力政策の変更を検討せざるを得ない。彼らは何十年も一銭も払わずに我が国の領土に軍事基地を維持しているが、この場合、ホンジュラスに存在する理由をすべて失うことになるだろう」

カストロ大統領が言及したのは、首都テグシガルパから北西約80キロに位置するソト・カノ空軍基地だ。

当初パルメローラ空軍基地として知られていたこの施設は、1954年に遡る軍事パートナーシップ協定の下、1982年に設立された。現在、500人以上のアメリカ軍人と同数のアメリカ人およびホンジュラス人民間人が駐留している。

この基地は、一時的な遠征部隊として始まったが、その後無期限の軍事プレゼンスへと発展した統合任務部隊ブラボーの本部として機能している。地域の安全保障活動に加えて、この任務部隊は援助物資の配布、災害救援、医療サービス、インフラ整備、地元の警察や消防士の訓練など、様々な人道支援ミッションを行っていた。

アメリカは数十年にわたり、ホンジュラスに多大な人道支援を提供してきた。

国務省によると、2020年度から2023年度にかけて、国務省とアメリカ国際開発庁(USAID)はホンジュラスに対して7億8500万ドル(約1235億円)以上の二国間、地域、および人道支援を提供した。2023年には、USAIDの4250万ドル(約67億円)がホンジュラス、エルサルバドル、グアテマラに追加で割り当てられたとUSAIDは2023年の声明で述べている。

カストロ大統領の批判者たちは、移民問題で最も重要な貿易相手国との関係を危険にさらすことに警鐘を鳴らしている。

4月にカストロ政権を辞任した元第一副大統領のサルバドール・ナスラーラ氏は、ソーシャルメディアプラットフォームXへの投稿で次のように述べた。

「この決定はアメリカとの歴史的関係を危うくするだけでなく、深刻な経済的影響を及ぼす可能性がある。このような規模の対立は、我々の輸出品に壊滅的な関税をもたらし、すでに脆弱な経済に打撃を与え、何千人ものホンジュラス人の生計を奪うことになるだろう。ホンジュラスには同盟国が必要であり、不条理な対立は必要ない」

2023年3月、カストロ大統領は台湾との外交関係を断ち、中国との関係を樹立した。中国共産党(中共)政権は台湾を統治したことがないにもかかわらず、台湾を離反した省と宣言し、民主主義の島を権威主義的な本土と再統一するために武力行使の可能性を排除していない。

同年6月、カストロ大統領は北京訪問中に中国と一連の協定に署名し、一帯一路構想をホンジュラスに持ち込み、エネルギー、インフラ、通信分野への中国の投資を奨励した。

この転換はワシントンで懸念を引き起こしている。米国務省西半球問題局のエリック・ヤコブスタイン副次官補は、議会メンバーに対し、カストロ大統領の中国への接近は潜在的な安全保障上のリスクをもたらす可能性があると述べ、特に中国の国有通信大手ファーウェイがソト・カノ基地の近くで事業を展開した場合の懸念を表明した。

ヤコブスタイン氏は2023年10月の議会公聴会で次のように述べた。「ファーウェイとソト・カノ基地での我々のプレゼンスに関して、これは絶対に重要であり、基地に中国のプレゼンスが見られるようなことがあれば非常に懸念される。これは我々がホンジュラスのパートナーに公私ともに明確に伝えてきたことだ」

Bill Pan
エポックタイムズ記者
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