カネの魔力は、人命を救うはずの医療を「悪魔の錬金術」に変えてしまう。
長きにわたり「無神論」に毒され、道徳が低下した人のやることは怖すぎる。
今の中国において、病院をはじめとする医療現場の「闇」は限りなく深い。
ある女性は、中国の病院で行われている「臓器狩りへの関与」の可能性を「過剰医療」の実態としてネット上で「実名」で訴えている。
「病院は検査画像を偽造して、『ガン』と嘘をついて私たちを騙して、母親を手術台に乗せた。母親の正常な臓器を5つも摘出しておいて、家族には何の知らせもしなかった。摘出された臓器がどこへいったのかもわからない。母親はそのせいで術後3月で死んだ」
手術台
事件が起きたのは2018年8月、女性の母親(張玉華さん、70代)は年に一度の定期検診のために広東省深セン市にある「香港大学深圳(しんせん)医院」を訪れた。
以下は女性による告発。
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「母親は健康診断でどの項目も問題なかった。それなのに同院の紀任医師は何が何でも退院させてくれなかった。『すい臓に問題がある」と言って検査を行い、画像に映った影をすい臓がんと断定して手術をするため家族にサインさせた」
「しかし手術中、がんを発見できなかった。にも関わらず、母親はすい臓、胆のう、脾臓、十二指腸、胃の一部など健康な臓器を5つも摘出された」
「手術後、母親はまともに食事をとることができず、健康状態は急速に悪化し、手術後3か月で死亡した」
「死後、私たち遺族は、ようやく母親の複数の臓器が摘出されていたことを知った。病院側は本来ならば摘出した臓器は家族に渡すことが決められている。しかし、渡されなかった。摘出された臓器がどこへ行ったのかもわからない」
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遺族はその後、病院を相手取って提訴し、弁償を求めた。
2022年1月、現地裁判所は一審判決で「病院側に80%の責任がある、47万元(約1千万円)の弁償をせよ」とする判決を下した。この判決に対し、遺族も病院も受け入れられず、いずれも上訴している。
女性によると、「あの医師による被害者は母親だけではない」という。
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(遺族の女性による告発)
「一般人に対する臓器狩りの場と化した病院」
女性の告発動画をSNSに投稿した米国在住の著名な調査ジャーナリストである趙蘭健(ちょうらんけん)氏も、「問題の病院は、中国共産党による一般人に対する臓器狩りの場、ナチスの強制収容所と化している。問題の医師は以前にも、廖〇澤という名の患者の正常な臓器を摘出して、死亡させたこともある」と指摘している。
「病院と医師がグルになって患者と患者家族を騙して、不必要な手術を施して金稼ぎをし、正常な臓器を摘出してそれを売った」
「中国の病院は中国共産党による一般人に対する臓器狩りの場となっている」
として趙氏は国際社会の注目と介入、調査を呼びかけている。
この事件は女性の告発や中国メディアによる報道などにより、世論に注目されたから知り得た氷山の一角にすぎない。中国では私たちが知りえないところで、女性とその母親と同様の理不尽な扱いを受けて、苦しんでいる人はほかにも大勢いるに違いない。
病院がみだりに医療費を請求
とくに近年では、「職員の給料をも払えない」病院は増え、各地で病院の倒産も相次いでいる。
中国の病院では、どの科にも「売上ノルマ」が設けられ、基本給の安い医師は、過剰な処方および過剰医療などを行い、そのキャッシュバックをもらう。これは中国においては誰もが知る常識である。
そのため、中国の医療現場では、昔から、金儲けを目的とした過剰な検査、無駄・不適切な治療、薬の過剰処方が日常的に行われてきた。
中国のネット上には、がん患者が「病院が健康な部位を切除した」あるいは「健康な部位まで(がん治療用の)放射線を当てられてしまった」と訴える投稿をしばしば見かける。世論の注目を集められない場合、大抵は「どこへ訴えても相手にされない」という結末に終わる。
現代の中国では、「問題を解決したければ、世論に頼るしか道はない」というのが常識になりつつある。世論の注目を集められない場合、大抵は「どこへ訴えても相手にされない」という結末になる。しかし、世論から注目を得られたからといって、問題が必ず解決するというわけでもないというのも現実である。
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