危機迫る中小企業の生存戦略 2025年企業倒産の展望分析

2025/01/10 更新: 2025/01/10

東京商工リサーチは昨年末の12月30日、2024年を振り返り、2025年の企業倒産の展望について分析し、3つの重要なポイントを挙げた。

金利

第一に、金利上昇が企業収益に与える影響である。2024年に日本銀行がマイナス金利政策を解除し、政策金利を引き上げたことで、低金利競争は終焉を迎えた。新規借入や借換時に金利が上昇することで、企業の資金繰りへの心理的負担が増大する。特に経営体力が脆弱で生産性の低い企業にとっては、金利上昇が致命的な打撃となる可能性がある。

為替

第二に、為替相場の乱高下がある。2024年には円安が進行し、7月に一時1ドル161円台を記録した後、9月には140円台まで円高に戻すなど、激しい変動を見せた。2025年にはトランプ政権の発足により、日本製品への関税引き上げも懸念される。円安の継続は物価高をもたらし、中小企業の収益を圧迫する要因となる。

人手

第三に、人手不足と事業承継の問題がある。経済活動の回復に伴い、企業の人手不足が顕著となった。賃上げによる人材確保が必要となるが、中小企業にとっては資金繰りを悪化させるリスクがある。また、経営者の高齢化に伴う事業承継の問題も深刻化している。後継者の育成や事業承継の準備には時間がかかるため、対応が遅れれば事業継続をやむを得ず断念せざるを得ない状況もある。

2025年には私的整理の法制化が本格的に動き出すが、企業倒産の見通しは厳しいものとなっている。東京商工リサーチの調査によれば、2025年に自社業界の倒産が増えると予測する企業が63.0%に達しており、前年の調査から6.3ポイント上昇している。

東京商工リサーチは、このような状況下で、企業は「企業自ら自立し、将来ビジョンをしっかり地に足をつけて描くことが求められる」と述べている。

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