日本製鉄による米USスチール買収計画をめぐり、日本製鉄の森高弘副会長が米紙ウォールストリートジャーナルに寄稿し、バイデン大統領による買収阻止命令を厳しく批判したことが明らかになった。
森副会長は寄稿の中で、「バイデン大統領が政治的動機で審査をねじ曲げた」と述べ、買収計画に国家安全保障上の懸念はないとの見解を示した。また、対米外国投資委員会(CFIUS)による審査が「適正手続きと公正さという最も基本的な要件を満たしていなかった」と指摘し、選挙政治が審査プロセスに影響を与えたことで、CFIUSへの信頼が損なわれる可能性があると警告した。
この寄稿は、バイデン大統領による買収阻止命令の背景を米国民に理解してもらう狙いがあるとされている。日本製鉄は既に命令の無効を求めて提訴に踏み切っており、森副会長の寄稿はその理由を説明する意図もあると考えられる。
一方、米国内では買収阻止に対する批判の声も上がっている。共和党のミッチ・マコネル上院議員も同紙に寄稿し、バイデン政権の決定が労働組合への政治的配慮を優先し、米国の経済および国家安全保障上の利益を損なうものだと批判している。
日本製鉄は買収の意義について、「USスチールを守り、高炉を継続させ、雇用を維持するための唯一の実行可能な取引である」と主張し、米国の労働者や顧客、国家安全保障に利益をもたらすと強調している。
今回の問題は、日米関係にも影響を与える可能性がある。今後、トランプ新政権の発足を控える中、両国の外交関係がどのように展開していくかが注目される。
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