関西エアポート株式会社は2025年2月1日、関西国際空港(大阪府泉佐野市)と大阪国際空港(伊丹空港)に設置した国内最大級の太陽光発電施設の稼働を開始した。空港運営会社が自施設内で消費する「自家消費型」としては国内空港最大規模で、年間発電量は28.4ギガワット時(GWh)に達する。使用される大量の太陽光パネルのメーカーについては非公表。
発電設備の詳細
関西国際空港では第2滑走路北側の未利用地と国際貨物地区の屋根に合計3万9740枚の太陽光パネルを設置し、22.8メガワット(MW)の発電能力を有する。年間発電量は27.8GWhで、空港内の第1ターミナルビルや駐車場施設などに電力を供給する。一方、伊丹空港ではターミナルビル屋根に960枚のパネルを配置し、0.6MWの設備で年間0.6GWhを発電する。なお、今回のプロジェクトで設置される大量の太陽光パネルのメーカーについては非公表となっている。
両空港合わせた発電量は関西エアポートグループ全体の電力消費量の約20%を賄い、年間約1万2300トンのCO2削減効果を見込む。これはスギの木約140万本分の年間吸収量に相当するという。
事業の仕組みと特徴
今回のプロジェクトは「オンサイト型PPA(Power Purchase Agreement)」と呼ばれる新たな仕組みを採用。オリックス株式会社が特別目的会社(SPC)「Kパワーサプライ合同会社」を設立し、空港施設内に発電設備を設置・運営する。総事業費は約50億円で、国の補助金を活用しながら2023年11月に基本合意、1年3か月で稼働に至った。
従来の空港施設では、2014年に関西国際空港で11.6MWのメガソーラーが運用開始された実績があるが、今回の23.4MW規模はそれを大幅に上回る国内最大級の取り組みとなる。
今後の展開
関西エアポートグループは2030年までに2016年度比で温室効果ガス50%削減を目標に掲げており、既に関西国際空港第2ターミナルでは1.3MWの太陽光発電を導入済み。今後は神戸空港での太陽光発電導入も検討しており、水素エネルギー活用や照明のLED化など多面的な環境対策を推進する方針だ。
オリックス・リニューアブルエナジー・マネジメント株式会社が設備の維持管理を担当し、発電量のモニタリングを通じた効率運用を図る。同事業は空港施設の特性を活かした官民連携の成功事例として、今後の再生可能エネルギー普及モデルになることが期待されている。
関西エアポート株式会社は、関西国際空港(KIX)および大阪国際空港(ITAMI)の運営を新関西国際空港株式会社から引継ぎ、2016年4月1日より両空港の運営会社として事業を開始した。関西エアポートは、オリックス株式会社とヴァンシ・エアポート(VINCI Airports) を中核とするコンソーシアムにより設立された。ヴァンシ・エアポートはフランスの空港運営会社で世界で45の空港を運営している。フランス建設大手のヴァンシのグループ会社である。
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