トランプ大統領 政府系ファンド創設 TikTok買収に使える可能性示唆

2025/02/04 更新: 2025/02/04

ドナルド・トランプ大統領は2月3日、ソブリン・ウェルス・ファンド(政府系ファンド)の創設を命じる大統領令に署名した。このファンドは、中国のソーシャルメディア・アプリ「ティックトック(TikTok)」を購入するための投資手段として機能する可能性がある。

トランプ大統領は大統領令の署名中、オーバルオフィス(大統領執務室)で記者団に「我々には大きな可能性がある」と語った。大統領は、スコット・ベッセント財務長官とハワード・ルトニック商務長官候補がこの取り組みを主導すると述べた。

署名に立ち会ったベッセント財務長官は、このファンドは今後12か月以内に運用を開始する見込みだと述べた。ベッセント財務長官は署名の場で「このファンドは価値を創造し、大きな戦略的重要性を持つと思う」と語った。

ソブリン・ウェルス・ファンドとは、政府が所有する投資ファンドで、通常、国の余剰準備金や天然資源からの収入によって資金を調達する。これらのファンドは、国家の経済目標を支援するために使用することが多く、ベンチャーキャピタルのように機能し、様々な分野に投資できる。ソブリン・ウェルス・ファンドの著名な例としては、ノルウェー、中国、アブダビ、カタール、シンガポール、香港などのファンドがある。

トランプ大統領は就任初日に、TikTokの禁止を75日間停止する大統領令を発令し、この動画プラットフォームに関する今後の対応を検討する時間を与えた。

昨年4月に制定された法律によると、TikTokは北京を拠点とする親会社「字節跳動(バイトダンス)」から分離しない限り、アメリカでの禁止に直面している。

トランプ大統領は1月20日の大統領令署名時に「当初はなかったTikTokへの温かい思いがあるように思う」と述べ、数千万人の若者ユーザーを持つプラットフォームであるTikTokが2024年の選挙で若い有権者の支持獲得に貢献したことを評価した。

大統領は大統領令で「国家安全保障を守りつつ、1億7千万人のアメリカ人が使用するプラットフォームを救う解決策」を見つけたいと示唆した。

1月27日、トランプ大統領はMicrosoftがTikTokの買収に関心を示している企業の一つだと述べた。また、「TikTokには多くの関心が寄せられている」と付け加えたが、他の買収に関心を示している企業の詳細については言及しなかった。

TikTokの国家安全保障への影響

TikTokをめぐる国家安全保障上の懸念は、主に中国企業「字節跳動(バイトダンス)」との関係性とデータ収集慣行に起因している。アメリカ政府は2024年4月26日に「外国敵対勢力に支配されたアプリよりアメリカ人を保護する法律」を成立させ、2025年1月17日に最高裁が合憲判断を下したことで、法的措置が確定した。

TikTokはユーザーの正確な位置情報・閲覧履歴・プライベートメッセージを含む170種類以上のデータを収集するが、これらに関し、中国共産党(中共)政権が中国国家情報法(2017年)により、データアクセスを要求する可能性を指摘している。

また、アルゴリズム操作リスクも存在する。戦略国際問題研究所(CSIS)の分析によると、中共がコンテンツ表示を操作し「デジタルシルクロード」戦略の一環で影響力を行使する可能性を指摘する。具体的には、政治的プロパガンダの拡散、反体制コンテンツの検閲、選挙介入の懸念があげられる。

日本は政府端末での使用制限を2023年に導入した。

経済的影響

TikTokはアメリカ経済に深く浸透している。アメリカ政府によるTikTokの禁止が現実味を帯びる中、同プラットフォームに依存するクリエイターや中小企業への影響は深刻化している。

TikTok関連の経済効果は2023年時点で約242億ドルに達し、そのうち150億ドルが中小企業がマーケティングや広告にTikTokを活用したことによるものだ。禁止措置が実施された場合、中小企業は禁止後1か月間で13億ドルの損失を被る可能性があるとTikTokは警告している。さらに、22万4千人の雇用が危機に直面すると予測している。

大紀元日本の記者。東京を拠点に活動。主に社会面を担当。その他、政治・経済等幅広く執筆。
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