アメリカのトランプ大統領が中国製品に新たな関税を課すことで、中国の不安定な経済に、重大な打撃を与える可能性がある。
ゴールドマン・サックスの経済学者は、2月3日に発表した報告書の中で、追加の10%の関税が中国の今年の実質GDP成長を50ベーシスポイント引き下げると述べている。
*ベーシスポイント(basis point)は、金融や経済の分野で使われる単位で、1%の100分の1、つまり0.01%を意味する。
トランプ大統領は1日、北京がフェンタニルのアメリカ入国を阻止できなかったことを受け、4日から中国製品に10%の関税を課すと発表した。
ゴールドマン・サックスは、2025年の中国の実質GDP成長率が4.5%に減速すると予測している。2025年の消費者インフレ率はわずか0.4%の上昇にとどまると予想している。国際市場で中国製品の需要が弱まる中、アメリカが関税を引き上げることは、すなわち、中国国内の物価にさらなる圧力をかける可能性がある。
イギリス・ロンドンに本拠を置く国際金融グループであるバークレイズ(Barclays)は3日の報告で、中国政府は「今回、関税の影響を回避するのは容易ではない」と述べた。また、中国政府が為替レートを操作して通貨を安くし、大規模な貿易移転を行い、輸出業者の利益率を減少させる政策の余地が「大幅に縮小した」と説明している。
スイスの金融グループ、UBSの首席中国エコノミスト汪濤(Wang Tao)氏は、3日にCNBCに対して、アメリカが中国の4分の1の輸出商品に対して60%の追加関税を課す可能性はあるが、中国共産党政府はより大きな政策支援を提供することを考慮し、「2025年の中国のGDP成長率4.0%の基準予測を変更するつもりはない」と述べた。
22V Researchの中国研究責任者であるヒルソン氏は、中国もトランプ氏がメキシコに対して課す可能性のある関税の影響を受けると述べている。これは、トランプ氏の初期の大統領任期中に発生した貿易戦争の際に、多くの中国企業が一部の生産をメキシコに移したためだ。
トランプ大統領は3日に、メキシコ大統領と電話会談を行った後、メキシコに対する25%の関税を1か月延長することに同意した。しかし、アメリカとメキシコの交渉代表が1か月以内に合意に達しなければ、関税は依然として実施される。
中国経済は不動産の崩壊、消費の低迷、企業の信頼感の低下から抜け出すのが難しい状況にある。「日本経済新聞」はフランス興業銀行アジア太平洋地域のチーフエコノミストである姚偉(Wei Yao)氏の言葉を引用し、トランプ大統領が、中国に対して10%の関税を課すことは「控えめな措置であり、むしろ交渉のカードのようなものだ」と述べている。
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