スマホアプリ規制法 アップル・グーグルアプリ2頭体制に風穴 「米IT企業への攻撃」=米元大統領補佐官

2025/04/07 更新: 2025/04/07

日本で制定した「スマホソフトウェア競争促進法」が国内外で注目を集めている。

近年、スマートフォンのOS、アプリストア、ブラウザ、検索エンジンなどについて、アップルやグーグルなど、アメリカのビックテックの独占的立場を利用した市場への圧力が問題視され、EUだけでなくアメリカでも度々訴訟が起きている。

2024年6月に成立したこの法律は、スマートフォンに欠かせないモバイルOSやアプリストア、ブラウザ、検索エンジンなどの特定ソフトウェア市場における競争環境を整備し、巨大IT企業による寡占状態を是正することを目的としており、一部施行が始まっている。2025年12月には全面施行する予定だ。

公正取引委員会は、規制対象として特定ソフトウェアを提供する事業者のうち一定規模以上の企業を指定し、それらに対して禁止事項や遵守事項を定め、違反があった場合には課徴金納付命令などの制裁措置を講じる仕組みを整備している。

国内での背景と目的

日本においてもアップルやグーグルなどが提供するモバイルOSやアプリストアが市場シェアの大半を占めており、これが新規事業者やイノベーションの阻害要因となっているとの指摘があった。新法はこうした状況に対応するため、競争環境の改善とともにセキュリティやプライバシー保護にも配慮した内容となっている。

具体的には、アップルやグーグル以外のアプリストア運営を許可し、ユーザーが公式ストア以外からも選択できるようになる。また、外部課金方法の導入が認められ、課金システムの透明性向上が図られることで、市場競争の促進を期待する。

アメリカでは、この法律がアップルやグーグルなどの米IT企業への「攻撃」とみなされる可能性があり、一部から懸念の声が上がっている。

共同通信によるとオブライエン元国家安全保障担当官は、日本市場への中国製アプリ進出による安全保障上のリスクを指摘し、第1次トランプ政権で大統領補佐官を務めたロバート・オブライエン氏は、日本による「米IT企業への攻撃」だと訴え、同盟の「大きな不安要因になり得る」とし、新法は中国企業にアプリ市場参入の門戸を開くことになると疑義を呈している。

国際的な連携と今後

日本政府は、この法律施行に向けて国際的な連携も模索している。今年初めには「デジタル競争グローバルフォーラム」を開催し、日本の規制当局者や海外の専門家たちは議論を交わした。フォーラムでは、市場公正性確保や企業との対話重視などが重要課題として挙がった。

この法律は、日本国内だけでなく世界的なデジタル市場規制の動向にも影響を与える可能性がある。巨大IT企業による寡占状態への対応は国際的な課題であり、日本の取り組みが他国への参考事例となることを期待している。

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