厚労省は10日、65歳以上の高齢者および基礎疾患を持つ60~64歳の人々を対象とした新型コロナウイルスワクチンの定期接種に関する助成制度を終了し、2025年度から取りやめる方針を発表した。
この助成制度は、接種1回あたり8300円を自治体に支給する形で行われてきた。定期接種は2024年度から開始され、対象者の自己負担額を軽減するために国が財政的支援を行ってきた経緯がある。
現行制度では、接種費用(約1万5300円)のうち、国の助成により自己負担は最大でも約7千円に抑えられていた。しかし、2025年度以降は国の助成が終了するため、自治体が独自に補助を行わない限り、接種費用の自己負担は増加する見込みである。
助成廃止の背景には、以下のような要因があるとみられる。
財政負担の軽減 ワクチン接種の公費負担が長期化する中で、国の財政を見直す必要性が高まっている。
感染状況の変化 新型コロナの流行状況や重症化リスクが当初と比べて変化し、ワクチン接種の必要性や費用対効果が見直された可能性がある。
任意接種への移行傾向 若年層など、定期接種の対象外となっている層ではすでに全額自己負担の任意接種へと移行しており、助成の必要性が再評価されたと考えられる。
この方針により、全国の多くの自治体では接種費用の負担が個人に転嫁される見通しである。一部の自治体では引き続き独自の助成制度を設ける動きも見込まれるが、国による支援の終了は、今後の接種率や費用負担の在り方に大きな影響を及ぼす可能性がある。
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