日本製鉄 純利益18%減 中国の鋼材過剰で市況悪化

2025/02/06 更新: 2025/02/06

日本製鉄は2025年2月6日、2024年4~12月期の連結純利益(国際会計基準)が前年同期比18%減の3620億円だったと発表した。市場予想(QUICKコンセンサス3272億円)を約1割上回る結果となったが、中国の鋼材過剰生産による市況悪化と国内外の需要減が収益を圧迫した。

同社の減益要因は三つの構造的問題に起因する。第一に、中国の不動産不況に伴う鋼材需要の急減だ。2024年1~11月の中国鋼材輸出量は前年同期比22.6%増の1億115万トンに達し、日本の年間粗鋼生産量(約8700万トン)を上回る規模で国際市場をかく乱している。経済協力開発機構(OECD)の統計によると、中国の鉄鋼補助金は加盟国の10倍超に上り、政府支援下での過剰生産が鋼材価格を押し下げている。

第二に国内需要の低迷が続く。2023年度の国内鋼材消費量は前年比150万トン減の5200万トン、2024年度はさらに100万トン減の5100万トン台が見込まれる。自動車向け需要は品質不正問題の影響で伸び悩み、建築分野でも建設費高騰と人手不足から工事延期が相次いでいる。

第三に海外市況の悪化が収益を圧縮した。東南アジア市場では中国産熱延鋼板が1トンあたり600ドル台まで下落し、日本製鉄の輸出マージンが前期比700億円減少した。経産省によると、2024年10~12月期の国内粗鋼生産量は前年同期比1.4%減の2130万トンと4四半期連続で減少している。

森高弘副会長は「大口顧客向けの契約価格と市況価格は完全に分離されている」と説明し、コスト削減と高付加価値製品への転換を継続すると表明した。米USスチール買収計画については「日米首脳会談で解決の道が開ける」と期待を示している。

今回の決算発表により、鉄鋼業界が直面する課題が改めて浮き彫りとなった。中国の過剰生産問題や世界的な需要減少といった構造的な問題にどう対応していくかが、業界全体の将来を左右する鍵となるだろう。鉄鋼業界全体が構造転換を迫られる中、日本製鉄の海外戦略と国内生産効率化の成否が今後の焦点となる。

エポックタイムズ記者。東京を拠点に活動。政治、経済、社会を担当。
関連特集: 日本経済