高市首相誕生の見通しで市場反応 日経平均終値4万9185円 最高値更新

2025/10/20 更新: 2025/10/20

現在政局が大きく動く中、自民党の高市早苗総裁が初の女性首相になる見通しとなり、市場の期待感が高まっている。20日の日経平均株価は、前日比3.37%高の4万9185円50銭となり、史上最高値を更新。日本株の上昇はアジア市場にも波及し、主要株価指数が軒並み上昇している。

政局の動きが投資家心理を支える

高市氏は自民党総裁選で新総裁に選出されたが、その直後、公明党が連立からの離脱を表明し、一時は自民の先行きに不透明感が広がった。

しかし、20日に自民・維新は連立樹立に実質的に合意し、政権の安定が確保されるとの見方が強まった。20日には党内手続きを経て、同日夕方、高市氏と維新の会代表・吉村洋文氏が正式に連立合意文書へ署名する予定だ。

自民党の衆院会派196議席に日本維新の会の35議席を合わせると計231議席となり、過半数まであと2議席に迫る。21日に予定される首相指名選挙では、高市氏が首相に選出される公算が大きい。

政局の不透明感が後退したことで投資家心理が改善。さらに、アメリカでの信用不安が和らぎ前週末の米株式市場が上昇したことや、米中対立の緊張が緩和されるとの期待も追い風となり、日経平均は高値で取引を終えた。

経済政策への期待が株価を支える

高市氏は財政出動の拡大や減税を支持する「財政ハト派」とされており、物価上昇の影響を緩和する政策を重視している。また、日銀の利上げについても慎重な姿勢を示している。こうした政策方針が、株式市場の上昇と円安の要因になっている。

一部投資家は、高市氏の財政拡張と金融緩和への期待が、投資家心理を支え、日本株の上昇を後押ししている。

一方で、安全保障政策では「防衛強化」を掲げ、防衛費の増額や憲法改正への支持を表明しており、中国共産党政権への抑止力強化を明確に打ち出している。

東京市場の上昇がアジア全体に波及

20日午前10時55分時点で日経平均株価は48970.4ポイントとなり、2.92%の上昇を記録。その影響を受け、アジア市場も堅調に推移した。

  • 韓国総合株価指数:3794.58(+1.22%)
  • 香港ハンセン指数:25891.19(+2.55%)
  • 台湾加権指数:27652.98(+1.28%)
  • 上海総合指数:3873.29(+0.87%)

一方、中国経済の減速傾向は続いている。政府が発表した2024年7~9月期の経済統計によると、国内総生産(GDP)は前年同期比4.8%増にとどまり、過去1年間で最も低い伸び率となった。前期の5.2%から減速し、景気回復の勢いが弱まっている。

固定資産投資は年初から9月までの累計で前年同期比0.5%減となり、マイナスに転じた。不動産投資の減少幅も13.9%に拡大している。住宅価格の下落が家計の資産価値を押し下げ、個人消費の低迷につながっているほか、消費者物価指数(CPI)は前年同月比で0.3%下落し、デフレ圧力が続いている。

これらのデータは、中国経済が依然として強い下方圧力に直面していることを浮き彫りにしている。

世界市場にも波及する期待

日本の政局安定化や主要国での利下げ観測を背景に、欧米の株価指数先物も上昇している。ユーロ圏の代表的指数であるユーロ・ストックス50先物とドイツDAX先物はいずれも0.6%上昇し、英国のFTSE100先物も0.2%上昇した。

清川茜
エポックタイムズ記者。経済、金融と社会問題について執筆している。大学では日本語と経営学を専攻。
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