農林水産省が1月31日に政府備蓄米の運用指針を見直したことを受け、全国農業協同組合中央会(JA全中)の山野徹会長は2月6日の定例会見で「生産者の手取り確保と消費者の理解獲得を両立させる必要がある」と述べ、今後のコメ価格の動向を注視する考えを示した。
2024年夏に発生した「令和の米騒動」以降、5kgあたりのコメ小売価格は4000円前後で高止まりしている。農水省の推計では2024年産米の生産量は前年比18万トン増えたが、集荷量は21万トン減少。江藤拓農相は「業者が在庫を抱えている可能性」を指摘している。
農水省は1月31日、従来の「凶作・災害時」に限定していた備蓄米放出の条件を拡大。流通停滞時にも「1年以内の買戻し条件」付きで放出可能とした。政府は、深刻な不作や連続した不作に備えて、主食用米の年間需要量の約7分の1に相当する100万トン程度を適正な備蓄水準としている。2024年6月時点での備蓄量は91万トンであった。
山野会長は会見で、今回の運用見直しについて現時点での影響を問われ「集荷は非常に厳しい状況にあるが、それほど大きな影響は出ていない」と述べた。その上で「この見直しは業者間の取引価格の上昇を抑える意図があると理解している」としつつも「生産者の手取りに悪影響が出ないよう配慮することが重要だ」と強調した。
さらに、山野会長は「生産者が納得し、消費者にも理解される適正な価格を実現したい」と述べ、JAグループとして今後も価格動向を注意深く見守る考えを示した。
農林水産省の運用見直しは、価格高騰に対する即応策として期待される一方で、生産者や流通業者への影響については引き続き注視が必要とされる。
ご利用上の不明点は ヘルプセンター にお問い合わせください。