米国務長官がG20欠席表明 反米主義を非難

2025/02/07 更新: 2025/02/07

米国務長官マルコ・ルビオ氏は5日、南アフリカのヨハネスブルクで開催されるG20外相会合への出席を見送ると発表した。その理由として、南アフリカ政府が「反米主義を助長している」と批判した。

ルビオ氏は自身のXに、「ヨハネスブルグで開催されるG20外相会議には参加しない。南アフリカ政府は私有財産を没収し、G20を利用して『団結、公平性、持続可能性』を推進している。言い換えれば、DEI(多様性、公平性、包括性)や気候変動だ」と投稿した。

さらに、「私の職務は、米国の国益を守ることであり、納税者の資金を無駄にしたり、反米主義を容認したりすることではない」と述べた。

南ア政府の反論とG20への影響

南アフリカ外務省は、ルビオ氏の発言に対し「私有財産の強制収用は行われていない。この法律は、他国でも見られる収用権と同様のものだ」と反論した。

南アフリカは現在G20の議長国を務めており、20日から21日にかけてヨハネスブルグでG20外相会議を主催する。しかし、世界最大の経済大国であるアメリカの欠席は、G20の議論に大きな影響を及ぼす可能性がある。

南アフリカのシリル・ラマポーザ大統領は先月末、新たな土地収用法に署名した。この法律は、土地所有の不平等を是正するため、特定の条件下で政府が土地を無償で収用できるようにするものだ。しかし、一部の団体は、この政策が過去のジンバブエの強制収用と類似する可能性があるとして懸念を示している。

トランプ大統領、南アへの援助停止を発表

トランプ大統領は2日、自身のトゥルース・ソーシャルで南アフリカ政府の施策は不公正な土地収用を可能にすると指摘し、「特定の階級の人がひどい扱いを受けている」と批判した。

トランプ政権は、南アフリカへの今後の援助をすべて停止することを決定。これにより、南アフリカの通貨が急落した。米国は2023年に南アフリカへ約4億4千万ドルの援助を行っていたが、今後は中止される見通しだ。

この決定を受け、ラマポーザ大統領は「トランプ氏と直接協議し、援助停止について話し合う用意がある」と述べた。

南アフリカの土地問題は長年議論されてきた。白人統治時代の格差を是正するための施策には、一部の保守派から反発があり、南アフリカ出身の実業家イーロン・マスク氏もその一人だ。

マスク氏はSNS「X」で、「なぜ公然と人種差別的な所有権法を作るのか」とラマポーザ大統領に問いかけた。

ラマポーザ大統領はすでにマスク氏と会談し、新たな土地収用法をめぐる米国新政権との対立を緩和するための調整を進めている。

DEI政策の撤廃と中国の動き

トランプ政権は就任直後に、DEI政策を撤廃する行政命令を発令した。トランプ氏は「DEIや積極的差別是正措置(アファーマティブ・アクション)は違法な差別であり、実力主義に基づく雇用機会を取り戻すべきだ」と主張している。

ルビオ氏のG20外相会議欠席が発表された直後、中国共産党の呉鵬・駐南アフリカ大使が南アフリカのロナルド・ラモラ国際関係・協力大臣と会談し、両国の関係強化について協議した。呉は「中国は南アフリカのG20議長国としての役割を支持する」と表明している。

李皓月
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