化粧品大手の資生堂が2024年12月期の連結決算を発表し、108億円の最終赤字に転落したことが明らかになった。1年間の決算が赤字となるのは、新型コロナウイルス感染症の影響を受けた2020年以来、4年ぶりである。主因は中国事業の不振だ。
決算発表によると、資生堂の2024年12月期のグループ全体の売上高は前年比1.8%増の9905億円となった。しかし、最終損益は108億円の赤字を計上した。
この業績悪化の主な要因として、中国事業の不振が挙げられる。中国での景気低迷や現地企業との競争激化により、中国事業を中心に収益が落ち込んだ。加えて、日本や中国での店舗閉鎖や人員削減などの構造改革に伴うコスト増加も影響した。
また、2021年に米投資ファンドに売却したブランドの対価が一部回収できない可能性が生じ、128億円の引当金を計上したことも赤字拡大の一因となった。
資生堂は今回の業績悪化を受け、2025年12月期の連結業績予想として、売上高9950億円(前年比0.4%増)、営業利益135億円(同78.2%増)、最終利益60億円の黒字転換を見込んでいる。
藤原憲太郎社長は決算発表の記者会見で、「必要な厳しい決断を行い、成長が収益につながる構造構築を完遂する」と述べ、業績回復に向けた取り組みを進める姿勢を示した。
資生堂は中国市場を重要な成長市場と位置付けてきただけに、今回の業績悪化は同社の経営戦略に大きな影響を与える可能性がある。今後、同社が新たな成長戦略をどのように展開していくか、業界内外から注目が集まっている。
共産党政権による中国リスク
中国市場は共産党政権に関連する特有のリスクを抱えている。以下に主要なリスク要因を挙げる。
政治体制に起因するリスク
中国共産党による一党独裁支配体制は、経済政策や規制の急激な変更をもたらす可能性がある。この政治体制は、市場原理とは異なる論理で経済運営がなされる場合があり、予測不可能性を高めている。
政策の硬直化リスク
習近平政権下で個人支配色が強まっており、政策決定の権限が過度に個人に集中している。これにより、政策の硬直化や誤った判断のリスクが高まっている。
経済構造転換の課題
中国経済は高度成長期を終え、構造転換の必要性に直面している。固定資本投資主導の経済から消費主導経済への転換には長期間を要し、その過程で様々な問題が生じる可能性がある。
国家資本主義のリスク
「国進民退」(国有企業優先)の姿勢が強まっており、民間企業や外資系企業の活動が制限される可能性がある。これは市場の効率性を損ない、イノベーションを阻害するリスクがある。
法的リスク
改正反スパイ法など、外国企業にとってリスクとなる法律が制定されている。これらの法律は、外国企業の中国での事業展開に不確実性をもたらしている。
対外関係のリスク
米中対立の激化や、台湾問題などの地政学的リスクが高まっている。これらは、中国市場への投資や事業展開に大きな影響を与える可能性がある。2025年2月7日(現地時間)ワシントンD.C.で発表された日米首脳共同声明により、対中強硬政策がより鮮明となったところだ。
経済データの信頼性
中国の経済統計の信頼性には疑問が呈される。例えば、若年層の失業率の公表取り止めなど、不都合な真実を隠蔽する傾向がある。大紀元は2023年1月の記事で、『法輪功の創始者・李洪志氏は「中国共産党は3年以上にわたって感染状況を隠蔽してきた。中国では疫病によってすでに4億人が死亡した。この疫病の波が終わるころには中国では5億人が死亡するだろう」と述べた』と報じた。中国人口データにも信頼性に疑問が呈されている。2025年現在も中国では疫病が猛威を振るっている。
以上のリスク要因は、中国市場への投資や事業展開を検討する際に慎重な評価が必要であることを示している。
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