「年越し」を中国語では「過年」と言う。ただし中華圏では新暦の正月よりも、旧暦の正月のほうを盛大に過ごす。中華圏で最も重要とされる祝祭日である「過年」。この日は家族の団欒が重んじられてきた。「過年」で家族が集まり、ひと時の団欒を楽しんだ後、いよいよ別れの時がやってくる。
「別れの時」
若い人から中年の人たちまでは再び都市部へ出稼ぎに行かなければならない。そうして村に取り残される子供(留守児童)や老人たちの悲歌(哀歌)が毎年、繰り返されている。
中国には、両親が都市部へ出稼ぎに行ったため、祖父母や親せきなどの農村に取り残された「留守児童」と呼ばれる幼い子供たちが6100万人以上(2015年時点)いると言われている。これは中国のGDPが日本を越え、世界第2位となった今でも変わらない。
また、出稼ぎに行く親に連れられて、都市部を転々とする子供も4千万人にのぼる。このような子供たちは、生活環境が極めて劣悪で、教育も満足に受けられない状態のため、大きな社会問題となっている。
1980年代以降、都市化の波のなかで、農村の余剰労働力が大量に都市部に流れた。
しかし、中国人がもつ戸籍は、農村部の住民と都市部の市民とで厳格に分けられている。中国の人民は日本のように、個人の意思でどこへでも自由に移転することはできない。特に、農村戸籍の住民が都市の市民になることは、わずかな例外を除いて、ほとんど不可能である。
そのような背景から、戸籍が農村部に固定されているため、農村で暮らすしかない出稼ぎ労働者の子供たちは「時代の孤児」となり、数え切れない悲劇を生み出してきた。
親子のふれあいやコミュニケーションが欠乏する留守児童は、その発育においても、感性の低下、破壊的な性格、敵意の増幅などがみられる。
さらには、情緒的に憂鬱や焦燥になりやすく、性格が偏屈で卑屈、自信のない子供に育つ傾向があるという。
近年では、留守児童に関連する餓死事件や自殺、さらには集団自殺事件が増加している。
また犯罪記録のある成人の農民工(農村戸籍をもつ出稼ぎ労働者)のうち、8割が留守児童だった経験をもつことが広州大学の研究で明らかになっている。
(出稼ぎに行く親、取り残される子供)
人民を騙し続ける中共
世界第2位のGDPを誇る中国。しかしこうした貧困に悩まされている家族は非常に多い。2020年、当時の首相であった李克強の「中国人民の6億人の月収は1千元(2万円)だ」との発言は世間に衝撃を与えた。
2015年9月の中国共産党内部の調査報告書が発表したところによると、31省・自治区・直轄市では、1千万元(約1億5千万円)以上の資本と財産を持つ人や家族が548万~560万人おり、そのうち360万~365万人が現役あるいは引退した中国共産党・政府関係者で、65%以上を占めるとされている。
こうした貧富の対比は、中国共産党の詐欺的一面を如実に表している。中国共産党はその軍の名前のごとく、「共産党が人民を開放する」と嘯いてきた。しかし中共のプロパガンダを信じて、中国共産党に財産や人生を投じてきた人々は、もう多くが死去しているが「騙された」と嘆いているだろう。
大紀元の社説「共産党についての九つの論評【第一評】共産党とは一体何ものか」には、次のように記されている。
「中国共産党は、農民に土地を与えると約束し、労働者に工場を与えると約束し、知識人らには自由と民主を与えると約束し、平和を約束したが、その約束は現在一つとして果たされていない。ある代の騙された中国人が亡くなると、その次の代の中国人が引き続き虚言のとりこになる。これは中国人の最大の悲哀であり、中華民族の不幸である」
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