「多様性」の名のもとに差別? 米ミズーリ州がスターバックスを提訴

2025/02/12 更新: 2025/02/14

アメリカのミズーリ州は2月11日、スターバックス多様性、公平性、包括性(DEI)を名目に、人種、性別、性的指向に基づく差別を体系的に行っているととして、同社を提訴した。

ミズーリ州はセントルイス連邦裁判所に訴えを起こし、スターバックスが人種や性別に基づく採用枠を達成することを幹部報酬と結びつけていると指摘した。また、特定のグループに対して追加の研修や昇進機会を提供し、取締役会がさまざまな人種や民族的背景を持つメンバーで構成されるよう、割り当て制を採用しているとも訴えている。

ミズーリ州のアンドリュー・ベイリー司法長官の事務所は訴状の中で、「これらすべての行為は違法である」と述べた。

現在、トランプ前大統領は連邦政府内外で推進されてきた多様性、公平性、包括性を促進する政策を全面的に見直しており、それに追随する形で、一部の大企業も多様性推進政策の撤回に動いている。

ウォール街の大手銀行ゴールドマン・サックスは2月11日、取締役会に投資銀行として企業の上場(IPO:新規株式公開)を支援する際に、多様性のあるメンバーが2名いる企業のみを上場対象とするという方針を撤回した。また、小売業大手アマゾンは先週、年次報告書から包括性と多様性に関する記載を削除した。

今回のミズーリ州による訴訟は、2020年以降スターバックスが実施している政策に異議を唱えるものだ。この政策は、ミネソタ州ミネアポリスで警察官が黒人男性ジョージ・フロイドを殺害した事件をきっかけに、全米で社会的動揺が広がり、多くの企業が人事方針の見直しを迫られた中で導入された。

ミズーリ州は、スターバックスが割り当て制を支持することは「同社の方針として一貫している」と指摘している。同社の新CEOブライアン・ニコル氏は、メキシカンフードチェーン「チポトレ」を率いていた時代から、環境・社会・ガバナンス(ESG)に関連する左派的な目標を推進してきた経緯があるとされる。

現在、スターバックスはアメリカ国内で約21万1千人、全世界で約36万1千人の従業員を抱えている。

2023年8月、ワシントン州スポケーン市の連邦裁判官は、スターバックスの多様性政策に関する株主の訴えを却下した。その理由として、この問題は立法者や企業が判断すべき公共政策の範疇であり、裁判所の管轄外であると述べた。

ミズーリ州の訴訟では、スターバックスが連邦および州の公民権法に違反していると主張しており、同社に対し、人種、性別、国籍に基づく差別行為の停止を要求している。また、差別の影響を受けた従業員の再雇用や懲戒処分の撤回、さらに未定額の賠償金の支払いを求めている。

秋生
中国語大紀元の記者
関連特集: アメリカ社会